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【SPY×FAMILY】dear twilight ※全年齢

第5章 なんのために





フォージャー一家は、
三者面接という正念場を迎えていた。


「おかけください」


ソファーに腰を降ろし、姿勢を正し。
面接官の質問に答えていく。


「おふたりは再婚だそうですが、どういった関係だったので?」

「彼女は―――――」





ロイドとユノは落ち着いて、
一つずつ質問をクリアしていく。
その場に居たひとりの面接官が、
つまらなそうに口を開いた。



「後妻だからって、いいこいいこして。仲良くするだけでいいと思ってるの?そんなんで母親なんて言えないでしょ」

「―――――それは……」





厳しくしつけてはおりますが
出来る限り気持ちを尊重し
密な信頼関係を築いております

理想の親子だと自負しております
そうでしょう ユノ





「必要な時は厳しくしつけております。出来る限り気持ちを尊重し、密な信頼関係を築いているつもりです」



笑顔の仮面を被ったその下の。
ユノの暗い感情が流れ込む。

アーニャはユノの顔をみたあと、
目一杯の明るい笑顔を見せた。


「はは は、ぜったいに、ぶったりおこったりしません」

「なに言ってんの。そんなの当たり前でしょ」

「まあまあ、聞きましょう」


温厚そうな面接官が横からの野次を諫め、アーニャは続ける。


ユノがとても、温かいこころの持ち主だと。
予習もしていなかったことだ。
アーニャは自身の気持ちを口にしている。
そう思ったロイドは、
面接官と共に黙ってその言葉を聞いていた。



「わたしは、そんなははが、だいすきです」

「アーニャさん…………」



ふたりに点数をつけるなら、
100点満点だと。
ずっと、ふたり一緒がいいと。
アーニャは言った。



ユノは目に涙を溜め、アーニャの手を握りしめた。
それを見て、ふたりの面接官は満足そうに頷いた。


「とても、良好な関係を築いておられる」
「実に、エレガントだ」


ロイドは笑みを浮かべ、胸を撫でおろした。

何を心配していたんだ。
予習などしなくても、
これが家族でなければ何だというんだ。


そこで、ちっと舌打ちした面接官が、
口元を引きつらせて言った。


「じゃあ今のママと前のママ、どっちが高得点だ?」




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