【SPY×FAMILY】dear twilight ※全年齢
第5章 なんのために
夜。
ノックが聞こえ、扉を開けるとユノが立っていた。
今日の自分の行動を顧みると、
流石に奉仕してもらうのは気が引けた。
「ユノ、今日は、……」
「少し、お話、したくて」
ユノは、
アーニャはおそらく合格すると思うが、
もし不合格なら、仕事を紹介して欲しいと言った。
「………理由を聞いても?」
「あそこには……戻りたく、ありません」
アーニャとふたりで、生きていきたいのだと。
養うためには、自分が働くしかないのだと言う。
「君は……僕が、厄介払いをすると思ってる?」
「そうは、思っていません。ですが、お役に立てることがないなら……置いていただくわけには参りませんから」
「―――――……」
しばらく沈黙が続いたあと。
ロイドは静かに言った。
「子供の受験が駄目になったからと、離婚する夫婦がいるのか」
ピクリとユノの肩が跳ねる。
ロイドはその動きを確認したあと、手を伸ばした。
「…………僕は、それとは、違う」
「―――――…ロイド…」
ロイドの腕が、ユノを包み込む。
体温の温かさを確かめるように。
ユノはロイドの背に手を回した。
唇が、重なる。
ふたりはベッドに横になる。
頬に触れ。互いの瞳を見つめ。
何を思うか。
なんのために、共にいるのか。
探るように、口付けを繰り返す。
定まらないこころは。
愛撫により、もやのように。