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【SPY×FAMILY】dear twilight ※全年齢

第5章 なんのために






イーデン校に足を踏み入れた三人。

ロイドは周囲に鋭い視線を向け、
既に四方八方から見られており、
面接はもう始まっているのだと二人に伝える。


アーニャの動揺した様子に、
そわそわしていたユノは深呼吸し、
アーニャの手を握り返した。


「大丈夫だよ。いつも通り」
「はは、…………」


アーニャは、むん、と気合を入れ、
しっかりした顔つきで、足を動かし始める。
ふたりもそれに続いた。



門をくぐり、三人は初代学長の像に敬礼をする。
ドブにはまって抜け出せなくなっている子を
スマートに助け、持ってきた代えの衣装に着替える。



カンカンカン


「大変だあ―――――っ」


飼育舎から、動物たちが逃げだしたらしい。
辺りは、騒然とした。
逃げ惑う人たち。

地面に倒れ込んでいる子供を、
ロイドが間一髪のところで救出するも、
依然、あたりはパニックのまま。


ユノはくらくらしているアーニャを抱きかかえていた。

群衆のパニックにあてられたのか。
そのとき、群れの中から
一頭の牛が勢いよく突進してくるのが見えた。



「―――――っ、」



こんなところで、銃を使うわけには。
ロイドがどうすべきか決めかねていると、
ユノがアーニャをロイドに引き渡した。

すっと前に立つユノに、ロイドは叫ぶ。

「ユノ!危ない!!」

首に巻いているスカーフを外し、
ふわりと手に持ちなびかせた。

牛がピクリと動きを鈍くしたのを見て、
ユノはその牛の動きを止めるように、抱きしめる。



撫でながら、優しく言葉をかける。
アーニャはそれに気付き、ユノと牛の元へ駆け寄った。

「驚かせちゃってごめんね。びっくり、したんだよね」
「だいじょうぶます こわくない」




牛は落ち着きを取り戻し、飼育舎の方へ戻って行った。

アーニャとユノは、顔を見合わせ、笑い合っている。


「…………」


ロイドはぽかん、とするも、
ユノの大胆かつ勇気ある行動に敬服した。


「大丈夫かい?」
「ええ、いきなりアーニャさん渡してごめんなさい」
「いや、君のおかげだよ」




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