• テキストサイズ

【SPY×FAMILY】dear twilight ※全年齢

第4章 家族の休日






視線に気付いたユノが、ロイドに顔を向けた。


「イチゴ、美味しいですか」
「ん? ああ、これと迷ってたな、食べるか?」
「いいんですか?」


またも目をきらきらさせ、ロイドを見つめるユノ。

そんなに喜ぶことなのか。
そう思うも、嫌な気分にはならない。
なんとも、微笑ましい。


「いいよ、好きなだけ」
「じゃあ、交換しましょう」


ロイドの手にあるイチゴクレープをひょいと取り上げ、
バナナクレープを「はい、」と手に持たせる。



ロイドは別にそこまで食べたいわけでもなかったので、
しばし手に持ったまま、ユノを見ていた。

ユノがイチゴを食べ終えたあと、
まだ食べれそうなら返すか、とさえ思っていた。



「ふたりだと、ふたつ味わえるなんて。お得ですね」



屈託なく笑い掛けるユノを見て、
ロイドは頷き、大きな口を開け、
手に持ったバナナクレープを頬張った。


「うん、これも美味い」
「でしょう?」









ロイドが食べ終わり、ユノがもう少しといったころ。


「公園に来たかったのか?」
「いえ、以前、ここにあったのを思い出して」


どうやら、クレープというよりは、
何でもいいから、”買い食い”というものをしたかったらしい。


「そうだったのか。それなら、通り道にもあっただろうに」
「こんな風に買って食べることに憧れていて」





おぼろげな記憶 


車で送迎されていた、小さいころ。
車窓から、同じくらいの子が、
お母さんに買って貰っていたのを
じっと見ていたことがあった。


窓にへばりつくように、その光景を。
気付いて欲しくて。
声を掛けてくれることを、期待して。

母は、ひとこと、言った。



「まさかあんな見苦しい真似、したいと思っているの」




/ 37ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp