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【SPY×FAMILY】dear twilight ※全年齢

第4章 家族の休日




ふたりはクレープを食べたあと、
なんとなく街を歩いていた。


ドン、

「あ、すみません、」

ユノが人にぶつかるのを見て、
さりげなく手を引き、誘導する。


「これだけ、人が多いんだ。気にしなくていい」
「………はい」




公園でクレープを食べているユノは、
とても嬉しそうだった。
しかし、食べ終わるころ、ふと視線を向けると。
レストランにいたときと、同じ表情をしていた。


イーデン校にいたこと。
マナーは一通り、身についていること。
少なくとも、よくある一般的な階級の家ではない。


ロイドは この関係である以上、
必要以上に身の上を詮索すべきではない。
知らないふりをしておくべきだと思う。



手を強く握られ、ユノはロイドの顔を見た。
手を引かれ、身体も自然と引っ張られる。



「ロイド?何処へ、」

「置いてけぼりにしたと、アーニャがすねるだろう。お土産を買って帰ろう」



ユノは、微笑む。

「きっと、喜びますね」







むにゃ、


「…………、」


アーニャが口元のよだれを拭い、目を開けた。
ロイドとユノの姿が見えない。


フランキーのこころの声が聞こえ、
ふたりがデートしていることがわかる。


「ははが、うれしいなら。あーにゃは がまん………」

「ん?起きてたのか」



ふたりが、戻ってきた。
ユノの手には、紙袋がひとつ。
「喜んでくれるかな」
そう思っているのが、わかる。
アーニャは にぱっ、と笑う。


「ちち、はは!」
「アーニャさん、これ」

「これは、なんだ?」
「アニメの、グッズというものがありまして」
「おお!気が利くな、はは!!」


ふたりが盛り上がっている横で、
フランキーはロイドの身体を小突く。



「仲は深まったか?」
「どうだか」


そう言うロイドの顔は、穏やかだ。
フランキーは「そうか」と言って、
三人を送り出す。





扉が閉まり、フランキーは
カウンターに頬杖を突きながら言った。

「壁を取り払う必要があるのは、どっちなんだろうな」




家路についた三人は。

面接のために、家族の休日を振り返る。
例えつくりものだとしても。
共有したことは、思い出として、
心にちゃんと残っている。



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