【SPY×FAMILY】dear twilight ※全年齢
第3章 ふあんのいろ
ガチャッ バタンッ
「…………アーニャさん?」
「はは、たすけて、」
アーニャはユノに抱き着いた。
ユノは、アーニャの背を撫で、事情を聞く。
「そっか、………したくないこと、するのは、辛いよね」
「あーにゃ、てすとしなくても、へいきだもん」
「うん、………」
息を切らしたロイドが、その場に現れる。
ユノはロイドに気付いたが、
アーニャに告げることなく、会話を続ける。
「したくないことをね、頑張るとき。終わったら、楽しいことが待ってるって、思うの。そしたらね、………ちょっとだけ、頑張れる」
「はは、………」
アーニャは、
孤児院でユノがどんなだったか、
思い浮かべた。
「ははも、………そうしてた?」
「…………、最初は、ね」
少し悲しそうな顔で、ユノは笑う。
アーニャは大きな瞳に涙を浮かべた。
「あーにゃ、おわったら、ぴーなつ、たべる!」
「え、そっか。好きだもんね」
「そして、ははが、いいははだって、しょうめいする!」
「アーニャさん、………ありがとう」
「…………アーニャ」
遠慮がちに、ロイドは声を掛けた。
アーニャは、目を擦ったあと、ロイドに向きなおる。
「ちち!はやくいこう!そしてぴーなつ!!」
「…………その前にやることは、覚えてるか」
「しかたないから、やってやる」
「…………(何故偉そうなんだ)」
「ロイド、………どうしても、嫌なら。ここで、やってもらったらどうかな」
「ここで?まあ問題を取り寄せれば出来るかもしれないが。イーデン校のテストは、回答を見ても僕が教えられるかどうか」
「わたし、……多分、分かります。そこに………いた、から」
「―――――」
ロイドはしばし、その場で固まっていた。
名門校に、在籍していた?
元はそれなりの家柄だったのか
物覚えもいい
実は頭が切れるのか?
それが 何故 あんな場所に
「―――――……」
アーニャはロイドの顔を見つめていた。
こころの声が、聞こえていたからだ。
「ちち、きょうは、ははに めんじて、いく!」
「ん?ああ、そうか。もう逃げるなよ」
「おとこに にごんはない」
「いつから男になった………」