【SPY×FAMILY】dear twilight ※全年齢
第2章 しろいがようし
「ちち、あーにゃ、おなかぺこぺこ」
ロイドとユノの間で、
片方ずつ手をつないでいるアーニャは、
唐突に声を発した。
「帰るまで、待てないか」
(思ったより出費がかさんだから、家で簡単に何か作ろうと思っていたんだが)
「うち びんぼうだから おそとで たべれないのか」
ヒソ、ヒソ、
「お金持ちそうなご夫婦なのにね」
「子供にだけ厳しいんじゃ」
「やだ、毒親ってやつ?」
アーニャはまわりをきょろきょろしたあと、
おおきな声で言った。
「どくおやってなんだ」
「!?」
ロイドの顔面が、勢いよく歪んだ。
(不味い、周りから変な風に見られている。目立つことは避けねば)
「よしわかった。好きなものを食べにいこう」
「ほんとうか?じゃあ あーにゃ、けーきがたべたい」
「頼むから、食事にしてくれないか………」
「アーニャさん、旗が乗ったやつ、食べたがってたよね。それはどうかな」
「! そうだ、おこさまらんち!」
「ロイド様、いいでしょうか」
「うん、………”様”は取ること」
「あ、……失礼しました」
「いいよ。子供向けメニューのあるレストラン、探そう」
「はい」
「ははのおかげだ!」
アーニャは満面の笑みで、ユノに言った。
「ううん、わたしも、旗の乗ったの見たい」
「そうか、ははもか!」そう言って、
アーニャはユノと手をつなぎ歩いていく。
ロイドは ぽい、と放された手を眺め。
優しく笑って。
また ユノとアーニャ
二人の手を片方ずつ握る。
三人の柔らかい空気は、同じだった。