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音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第3章 未知との出会い、騒音との再会


以前のやり取りで、


遠回しに言ってもこの人には伝わらない


と言うことを学んだ私は、


「…っ…大変失礼を言って申し訳ないのですが…」

「む!?何だ!言ってみろ!」

「…距離感が…近すぎるので…少し離れて欲しいのですが…」

「なんだ?すまないがよく聞こえなかった!もう一度言ってもらってもいいだろうか!?」


これだけ近くに寄っておいて聞こえなかったってどう言うことよ!聞く気がなかっただけでしょう?頭の中が独自の呼吸でいっぱいなんでしょう?


先程は遠慮の気持ちが先行してしまい、確かにボソボソと言ってしまった感は否めない。

ならば今度はと、

スゥ

と息を吸い


「…申し訳ないのですが!いささか距離感がおかしいようなので、もう少し離れてはくれないでしょうかぁぁあ!」


自分としては大きすぎるのではないかと思うほどの声で炎柱様にそう言った(天元さんのデカイ笑い声が聞こえてくる。一発で良いので殴らせて欲しい)。


炎柱様は私のその言葉に一瞬キョトンとすふものの、その後再びいつもの貼り付けたような笑顔を取り戻し、


「よもや!配慮が足らず、すまない!」


そう言いながら一歩後ろに下がった。少し距離感ができたことでホッとした私だったが、


ぽむち


今度は私の左肩に炎柱様の右手が置かれ、


「これで良いな!」


と当たり前のように私の肩に触れ、1人納得した表情を浮かべている。

流石に


触られたくないのでその手を離してください 


などと言えるはずもなく、プルプルと震えそうになる握り拳を身体の後ろに隠しグッと言葉を飲み込んだ(さらに大笑いしている天元さんが非常に、非常に腹立たしい)。


何でなの?どうしてなの?炎柱様はものすごく至近距離か、もしくは何処か触れ合ってないとお話が出来ない方なの?そうなの?


そんな疑問が頭をぐるぐる回り、先程よりも少し離れた距離にある炎柱様の顔を半ば睨むように見ていると、


「お姉さーん!饅頭20個、準備できたよー!」


お饅頭屋のおばさんの、私にとっては、天の助けとも感じられるような声が耳に届く。


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