第3章 未知との出会い、騒音との再会
今日何度目かもわからない作り笑いを貼り付けた私は
「申し訳ありません炎柱様。お饅頭を受け取りに行きたいので、その手を離して頂いても宜しいでしょうか?」
炎柱様はそう言った私の顔と、炎柱様が私の肩に置いた自身の手をじっーと見た後、ぱっとその手を離し
「お店の人を待たせては不味いな!独自の呼吸に関してはまた次の機会にお願いしよう!」
早速見慣れてしまった笑を浮かべながらそう言った。
肩から離れていった手に内心ホッとしながら
「すみません。…もしそんな時が来ましたら、是非その時に」
と心にも思っていない言葉を述べた後
「それでは、失礼いたします」
と一礼し、お饅頭を受け取りに向かった。
「待たせて悪いねぇ」
そう言いながらお饅頭を渡してくれるおばさんに
「いいえ全然!助かりました!」
と馬鹿正直に答えてしまい
しまった。思わず助かったとか言っちゃったけど、炎柱様に聞かれちゃったかな…
振り向いて炎柱様の様子を伺いたかったが、それで万が一目が合ってしまった日にはどうしていいかわからない。
大丈夫。私のことなんか気にしているはずがない。
そう無理矢理結論付け、私は裏切者、もとい、先ほどまで困り果てる私を見てお腹を抱え笑っていた天元さんの方に向かった。
わざとらしい笑みを天元さんに向け
「お待たせして申し訳ありませんでした」
と謝罪の言葉を述べると
「いいや。すげぇ面白いもん見せてもらったからな!礼を言ってやりたいくらいだ!」
ニヤニヤとした表情を隠すことなく言われ
「…雛鶴さんとまきをさんと須磨さんに…言いつけてやる」
炎柱さまに聞こえないようボソリとそういうも
「あいつ等は俺のかわいい嫁たちだぜ?俺の味方をするに決まってんだろ?」
と勝ち誇ったような顔で見下ろされ、天元さんも炎柱様に聞こえないよう声を抑えながらそう言った。