第17章 幸せな音が溢れる世界で
「…うん!出歩けるようになったら、必ず遊びに行くね」
「がはははは!遠慮なく来るといい!」
「だから何でお前が偉そうに言うんだよ!」
「わぁー!鈴音さんと赤ちゃんが私たちの家に遊びに来てくれるんですか!?今から楽しみねぇお兄ちゃん!」
「そうだな禰󠄀豆子!是非煉獄さんも一緒に、3人で来てください!」
「うむ!土産をたくさん持ってお邪魔させてもらおう!」
伊之助君は満足したのか”よっしゃ続き食うぜぇ!”と言いながら、席へと戻って行った。けれどもそうして手を付けたのは、隣の席の善逸のお膳だったらしく”お前さっきから俺のばっか食ってんじゃん!まじふざけんなよ!”と言いながら善逸も慌てて席へと戻って行った。
そんな騒がしい2人の様子をにこやかに見ながら、”それじゃあ失礼します”と炭治郎くんが一礼し、禰󠄀豆子ちゃんも”またお話させてください!”と同じように一礼すると、2人仲良く席へと戻って行った。
自然と繋がれる兄妹の手を見ていると
「……兄妹っていいな」
そんな言葉が、自然と口から吐いて出た。
すると杏寿郎さんが
「うむ!輝利哉様のお見立てによると、腹の子は男のようだからな!次は女子が来てくれるよう、2人で共に頑張ろう!」
両腕を組み、うんうんとひとり大きく頷きながらそんなことを言って来た。
「…っ…まだこの子が生まれてもいないのに…そんな風に期待されても困ります…」
恥ずかしいやら嬉しいやら…なんとも言えない気持ちになってしまった私は、杏寿郎さんを置いて席へと戻り、お膳の前にいそいそと腰かけた。
すると杏寿郎さんも
「わはは!すまない!鈴音との子であれば、男であろうと女であろうと、どちらもかわいいに決まっている!2人でも3人でも4人でもいい!…だがまてよ。あまり人数が多いと、君の取り合いになってしまうな……むぅ、なんと悩ましい」
そんなことを言いながら、私の隣に腰かけた。
顎に手を当て真剣に悩んでいる様子の杏寿郎さんに
「……まったく…何を言ってるんですか」
私は思わず笑ってしまった。