第3章 未知との出会い、騒音との再会
「…地味だ」
「…はい?」
「あまりにも地味すぎる」
「………」
自分が見せろって言ったくせに…地味とは何よ地味とは。
思わず眉間に皺が寄り、その渋い顔のまま天元さんをじっと見ていると
「いやな。俺だって、お前が最前線で切り込んでいく種類の人間じゃねぇってことは理解してるぜ?それにしたってよ?まさか独自の呼吸までそうなるとは……根っからの地味人間だな」
…根っからの地味人間…?
私は天元さんに向けていた顔の向きをグリンと変え、雛鶴さん、まきをさん、須磨さんが3人並んで立っている方向へと顔を向け、
「…っ聞きました?聞きましたか!?私のこと…地味人間って…根っからの地味人間って言いましたよ!確かに…あながち…否定は出来ないけど…いくらなんでも酷すぎやしませんか!?」
右手で作った拳をブンブンと振りながら、半ば叫ぶように言った。
そんな私の必死な訴えに、
「そうねぇ…その言い方は少し鈴音が可哀想かしら」
頬に手をあて困った表情を見せる雛鶴さん
「まぁ…言い方っていうもんが…あると言えばあるねぇ」
若干視線を逸らしながら言うまきをさん
「酷いですよ天元様ぁ!鈴音ちゃんをいじめないでください」
ぷりぷりと怒る須磨さん。
そんな3人の軽い非難ともとれる言葉を聞いた天元さんは、
「お前ら…最近こいつに甘くねえか?」
と何やら不満げな表情で言った。それに対し
「そんなことはないですけど」
「そんなことはないけど」
「そんなわけないじゃないですか!」
と間髪入れずに返ってきた言葉達に
「あ…うん…わかった」
天元さんは無表情で答えた。
ふんだ!見たか!
私は心の中でそう捨て台詞を吐き、こっそりほくそ笑んだのだった。