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音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第17章 幸せな音が溢れる世界で


私は


「…っちょっと待って!」


草履を脱ぎ、上りかまちを跨ぐすみちゃんを慌てて引き留めた。


「どうかなさいましたか?」


すみちゃんは私の方へと振り返り、小首を傾げながらそう尋ねて来る。

私は、廊下に上がったことで、私と顔の高さが近くなったすみちゃんをじっと見つめ


「……私、杏寿郎さんに会う前に…出来ればしのぶさんに会いたいの。しのぶさん、今忙しいかな?」


と、尋ねた。

するとすみちゃんは、私を掴んでいない方の手を自身の頬に当て


「しのぶ様ですか?…ええっと…確か先程、休憩に入られたばかりなので、今は自室にいらっしゃるかと思います」


左斜め上に視線をやりながらそう言った。

私は草履を脱ぎ揃え、すみちゃんと同じように蝶屋敷の廊下に上がらせてもらうと


「…休憩中で怒られちゃうかもしれないけど、私、杏寿郎さんに会う前に、どうしてもしのぶさんに会っておきたいんだ」


相変わらず可愛らしく首を傾げているすみちゃんに、そう言った。

すみちゃんは、そんな私を、その可愛らしい瞳でじっと見た後、にっこりと微笑み


「来てくれたのが鈴音さんなら、しのぶ様も喜ぶと思います!煉獄様には少し悪いですが、しのぶ様にとっても良い息抜きになると思うので、遠慮せずに会いに行って差し上げてください」


と、言ってくれ、私の手を離してくれた。


「ありがとう、すみちゃん。それで悪いんだけど…杏寿郎さん、私が自分よりもしのぶさんのところに先に行ったと知ったら、拗ねちゃうかもしれないから…もし杏寿郎さんに会っても、私が来てることは黙っててくれる?」


"何故俺よりも胡蝶が先なんだ"


不満気な様子を隠す事なく私をじっと見て来る杏寿郎さんの姿が容易に想像できてしまい、自然と苦笑いが浮かんで来る。


「…ふふふっ…煉獄様は、鈴音さんのことがとてもお好きですからね。わかりました」


すみちゃんはそう言った後、自分が屋敷の外に用があることを思い出したのか"それでは、ゆっくりしていってくださいね"と言うと、草履を履き、玄関を開け、外へ出て行ってしまった。

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