第3章 未知との出会い、騒音との再会
「音の呼吸壱ノ型……轟!!!」
どごぉぉぉぉぉおん!
「…へ…?」
いつもだったら、こんな轟音とも言える音がしたら、真っ先に耳を塞いでしまう。
けれども
「音の呼吸 肆ノ型……響斬無間!!!」
そんなことも忘れてしまうほどに
「音の呼吸 伍ノ型……鳴弦奏々!!!」
私は驚き固まっていた。
…思ってたのと…全然…違う…
音の呼吸。それは耳が喜び心が踊りだしてしまうような素敵な音を奏でる呼吸…だと思っていた。
そう思っていたのに、目の前に広がった光景は、地面に空いた巨大な穴、爆発と斬撃によって作られた不思議な空間、そしてそこまで大きくはないものの爆玉が何発も続けて爆ぜ、それに伴い光を発するような無数の爆発。
…っ全然…綺麗な音じゃない…!
私がそんな事を考えているとは思っていないであろう天元さんが、悠々とこちらに歩いてくる。そして私の顔を見ると
「…お前。なんだその不満気な顔」
と、私と同じく不満げな表情を浮かべそう言った。
「どうせお前の事だ、音がうるせえだとか思ってんだろ。ったく失礼なやつだぜ」
そう言いながら天元さんは両手に持っていた、その見るからに重そうな日輪刀を再び背中に背負った。
「次はお前の番だ。なんでもいいからやってみろ」
「…わかりました」
何でも良いが一番困るんだけどなぁ…
そう思いながらも私が腰に刺していた日輪刀を抜き、構えを取り、スッと肺に空気を取り込もうとしたその時
「言っておくが、俺が見たいのは雷の方じゃねぇ。んなもんは飽きるほど見てきた。見せるなら違う方にしろ」
「…っそれは…」
雷の呼吸じゃない方。すなわちそれは、私独自の派生の呼吸の方を指し示す。
「なんだよ。なんか問題でもあんのか?」
「…問題が…あるわけじゃないんですけど…」
「けどなんだ?」
じっと私を見る天元さんに、段々と自分の身体が小さくなっていくような、そんな気さえしてくる。私はぎゅっとズボンを握りしめながら天元さんに顔を向けた。