第3章 未知との出会い、騒音との再会
呆然と開かれたままの扉を見ている私の肩にポンと手が置かれ
「ま、この流れで天元様の日輪刀も見せてもらえるだろうし、よかったじゃん?」
とまきをさんが言い
「行きましょう」
と若干の苦笑いを浮かべた雛鶴さんに連れられ
「……はい」
残された私達も玄関へと向かった。
先を歩く天元さんと須磨さんの後姿をが視界に入ると
…何?あのごついの…
先ほど邸にいたときはなかった、ものすごく大きい包丁のようなものを2本、天元さんが背負っていた。なにやらその2本は鎖のようなもので繋がっており、2本で1本の役割を果たしているようにも見えた。
もしかし…あれが天元さんの日輪刀?いやいやいくらなんでもあれはないでしょう
心の中でそう自問自答しながら忍の武器かなにかだろうと結論付け、広場へと向かう脚を進めた。
けれども私のそんな予想を見事に裏切り
「これが俺の日輪刀だ」
そう言いながら天元さんが両手に構えたのは
「…まさか本当にそれが…?」
先ほど、忍の武器のなにかだろうと結論付けたごつい2本のそれ。
驚きポカンとしていた私に向けられた
「特別に俺様独自の呼吸法、”音の呼吸”の型を見せてやる」
その天元さんの言葉に
「…っ本当ですか!?私、ずっと、ずーっと、音の呼吸の存在を知った日から、音の呼吸の型を見たいと、そう思っていたんです!」
私が興奮気味に言うと
「そうか!お前にしては珍しくいい反応だ!よし!ド派手に見せてやるぜっ!」
天元さんも興奮気味にそう答た。雛鶴さん、まきをさん、須磨さん、そして私から背を向け距離を取ろうとする天元さんに私が着いていこうとすると
「あんまり近づくと危ないわよ」
「むしろあんたは耳塞いでもう少し離れた方が良いくらいだよ」
そんな雛鶴さんとまきをさんの言葉に、私の頭は疑問符で一杯だった。少し遠くにいる天元さん向け
「きゃー!天元様ぁ!素敵ですぅ!」
まだ何も始まっていないのに、黄色い声援を送る須磨さんの隣で、私も、どんな素敵な音が聴けるのかと、両掌を組み、どきどきと胸を高鳴らせながらその様子を見守った。