• テキストサイズ

音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第17章 幸せな音が溢れる世界で


だからと言って杏寿郎さんもそうとは限らない。先ほど天元さんが私に言った通り

”信じられないほどの馬鹿者だな”

と言われてしまうかもしれない。

それを言われてしまったとき、果たして私はどうなってしまうのか。

信じられないほどの馬鹿者が、自分の子を身ごもっていると知ったとき、いったいどんな反応をするのか。

それを考えると、杏寿郎さんい会いに行くのが怖くて怖くてたまらなかった。

ジワリとこみ上げて来る涙を堪えようと、グッと唇を嚙み締めたその時


「お前、何勘違いしてんだ?」


と、天元さんが言った。

その口調は、先ほど私を責めていた時の口調とは異なり、わずかな優しさを含んでいる気がした。

恐る恐る視線をずらしていくと、呆れた顔で私を見ている天元さんと目が合う。

私と目が合った天元さんは、”はぁ…”とわざとらしくため息をつくと


「俺はな、お前が戦わなかったことに関しちゃなんとも思ってねぇよ。いやむしろ、そんな身体であの場にいたら、死ぬほど説教して、ここに放り込んでたわ」


円卓に肘をつき、気だるげな表情を浮かべそう言った。

そんな天元さんの様子に


「………」


目じりに涙を浮かべたまま、その顔を凝視してしまう。

天元さんはそんな私に…”ひでぇ顔”と、これまた呆れ顔で言った後、フッと真剣なそれに変わり、私の下腹部へと視線を移した。


「お前、ひとりで赤ん坊孕める特殊体質の持ち主か?」


思ってもみない素っ頓狂な問いに


「…そんなわけ…ないじゃないですか」


思わず、微妙な表情になってしまう。

天元さんはそんな私の様子を全く気に留めず”だろう?”と言うと、私の下腹部に向けていた視線を上げ、私の顔をじっと見てきた。


「だったら一人でくそみたいに暗ぇ想像してねぇで、子ができたって、お前をそうした煉獄に教えてやれよ。飛び上がって喜ぶぜ?」

「……」


天元さんの言葉に、私の後ろ向きな想像を心の奥にしまい込み、杏寿郎さんのこれまでの言動を冷静に振り返ってみる。

すると


"本当か!?"


と、目を輝かせ驚く杏寿郎さんの姿が、想像できなくもない。

/ 932ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp