第3章 未知との出会い、騒音との再会
「日輪刀を振ってねぇだぁ?んなもん仕方ねぇだろ?お前には俺の戦い方の真似はできねぇし、日輪刀の形状が違すぎんだよ」
”日輪刀の形状が違う”
その言葉が猛烈に気になった。
「形状が違う日輪刀って…なんですか?日輪刀って、みんな同じ、この形じゃないんですか?」
どんな時でも肌身離さず所持している、自分の日輪刀の持ち手を触りながら私がそう尋ねると、天元さんは
「はぁ?何当たり前のこと聞いてんだよ。自分が自分の能力を最大限に活かせるように試行錯誤する。強くなりたけりゃお前もそれくらいしろ。考える頭がそこについてんだろ?」
呆れた表情を浮かべ、右人差し指で自身の米神当たりとトントンと指し示しながらそう言った。
「…そういやお前の適正呼吸が雷とは違うって言ってたな。なんの呼吸だ?」
その問いに私は
「……わかりません」
思わずそう答えてしまった。
私のその答えに”はぁ?お前、そんなんもわかんねぇのか?”と呆れられてしまうかと思った。けれども実際に私に投げかけられた言葉は、
「…まぁわかんねぇのも仕方ねえか」
と、天元さんは以外にも寛容な反応を示した。その予想外の反応に、思わず天元さんの顔をジーっと見てしまうと
「なんだよ俺の優しさに惚れちまったか?悪いが俺は…「あ、違います。あり得ません。ご安心ください」…相変わらずかわいくねぇやつだな」
「はいはい、はぁい!」
そんな私と天元さんの会話に割って入ってきたのは、右手をピンっと天井に向けきれいに伸ばし、目をキラキラさせている須磨さんだった。
「鈴音ちゃんは、くノ一初の呼吸の使い手です!どんな感じになるのか、私は興味深々です!」
「や…あの、だから私はくノ一ではなくて鬼殺隊士で「確かに!」っ!?」
私の言葉は見事なまでに遮られ、
「その観点から見れば、俺も気にはなる…よし!裏山に行くぞ!」
「はい!行きましょお!」
「ちょっと…あのぉ…!」
そう引き留めようとする私を完全に無視し、天元さんと須磨さんは、二人仲良く部屋を出て行ってしまった。