第16章 私が守るべきもの
そんな様子に、天元さんは必ずここに戻ってくると信じていても、私が杏寿郎さんの無事を憂うのと同じように、雛鶴さんまきをさん須磨さんも、天元さんの無事を憂いていることが、十分すぎるほど伝わって来た。
大好きな3人のそんな姿を見ていると
……やっぱり…私も戦えればよかったのに
そう思う気持ちが、またしても私の心に広がって行った。
空が白み始め
可愛らしい鳥の鳴き声が
私の耳に届いてくるようになった頃
バァンッ!
「…っ!?」
「何です!?なんの音ですかぁ!?」
何かが戸にぶつかるような音が聞こえ
「っ行きましょう!」
「あぁ!」
私たち4人は、急いで音が聞こえて来た縁側の方へと向かった。
慌ててたどり着いた縁側には
「…っ和!!!」
苗場さんとここに向かってくるときに別れたはずの和が、羽が2、3枚抜けた状態で縁側に転がっていた。
その様子と、先ほど聞こえた音から、和が勢い余って戸に激突してしまったことが窺い知れ
「大丈夫!?しっかりして」
私は慌てて和を抱き上げた。
和は、そんな私の呼びかけに”う~ん”と唸り声をあげた後、黒々とした丸い目をパッと見開き
「…っ無惨討伐完了!杏寿郎も善逸も天元様も、みんな無事なの!鬼殺隊の勝利なのぉぉぉぉお!」
バサリと大きく羽を広げなら、今か今かと待ち続けていた勝利の報告を届けてくれた。
和の言葉を噛みしめるかのように
「「「「………」」」」
しばらくの沈黙が続いた後
「「「…っやったぁぁぁぁぁ!!!」」」
雛鶴さんまきをさん須磨さんは
”…良かった…本当に良かった…”
”あたし達…これでやっと…!”
”うわぁぁぁん天元様ぁぁ!”
長きにわたる戦いの終わりを、そして今度こそ訪れる、”普通の人として生きていこう”という、天元さん雛鶴さんまきをさん須磨さん4人の約束を果たすことが出来る喜びを嚙みしめるように、抱き合い喜んでいた。