第16章 私が守るべきもの
”もうこのまま消えてしまいたい”
そう思ったその時
「あんたはどこまで馬鹿なんだ!」
「鈴音ちゃんの馬鹿!」
ベシっ
ギュムッ
まきをさんが私の頭を叩き、須磨さんが私の頬を抓った。
……痛い
あまりの衝撃に一瞬泣くのも忘れて固まっていると、まきをさんと須磨さんが、私に、左右から挟むような形で抱き着いて来た。
意外過ぎる二人の反応に、涙を溢しながら固まっていると
「あたしたちがそんな事思うわけないじゃないか!あんたは本当に…どうしてそんなものの考え方をするんだよ!」
まきをさんが
「そうですよ!あ!もしかして!誰かが鈴音ちゃんにそう言ったんですか!?どこの誰です!?そんな人、私が猛毒クナイで懲らしめてあげます!」
そして須磨さんが、そう言いながら私の身体に回す腕の力を強くした。
そんな2人の言動に
「…っ…どうして…どうしてそんな風に…言ってくれるんですか…?私…私は……!」
嬉しくて、けれどもやはり申し訳なくて、どうしていいのか分からなかった。
すると
「2人とも。気持ちはわかるけど、そんな風にしたら、お腹に負担が掛かってしまうでしょう?」
雛鶴さんが、私の身体にしっかりと巻きついているまきをさんと須磨さんの腕にその手を添えながら言った。
けれども
「それ位わかってるよ!」
「そうですよぉ!私たちが鈴音ちゃんの身体に負担になるような事、する訳がないじゃないですかぁ!」
まきをさんと須磨さんは、そう言い返し、離れていく様子は見せない。
雛鶴さんは、そんな2人の様子に、しょうがないと言わんばかりの笑みを浮かべた。けれどもその後、2人に向けていた視線を私へと移し
「仕方ない2人ね。…でも、もっと仕方ないのは、鈴音。あなたよ?」
眉間に皺をよせ、グッと私の顔に、その綺麗な顔を寄せて来た。