第16章 私が守るべきもの
音の波が私たちを包み込んだその時
ギギィーッ
ガコンッ!
突き上げられるような衝撃が下から訪れ
ドゴン
「…っ!?」
「っ姉さん!」
「うわぁぁぁ!?!?」
私たちは地面を突き破り、地上へと放り出された。
私たちの周りを、ボロボロになった扉や瓦礫が数多に舞っていたものの
「…っすごい…俺たちの周りだけ…なんともない…!」
音の波で作り出した壁が、それらが私たちにぶつかる事を防いでくれており、こんな状況にも関わらず、もともと負っていた怪我以外は無傷だった。
けれども
……っ…だめだ…もう…苦しくなって来た…!
そんなに長く呼吸を続けていない筈なのに、私の身体は悲鳴を上げ始め、自然と顔が険しくなってしまう。
しのぶさんが、そんな私の様子に気がついてしまったようで
「っ鈴音さん!もう大丈夫です!今すぐ型を解いて下さい!」
と、酷く慌てた様子で言ってきた。
周りを確認してみると、確かに私たちに怪我を与えそうな大きな木片や瓦礫は見当たらない。
……確かに…大丈夫そうだな…
そう判断し、型を解こうとしたその時
ドゴーン!!!!
「…っ…嘘だろう!?」
私たちが放り出された場所のすぐ隣から、また別の塊が現れた。
火山が噴火するように木片や瓦礫が地面から吹き出し始め
…あんなのが当たりでもしたら…無惨と戦うどころじゃない……もう少し…もう少し頑張らなきゃ…!
私は、一瞬だけ型を解いた。
けれどもまたすぐ
「…っ鈴音さん!!!」
落下物から身を守るため、音の波を作り始める。
「カナヲ!村田さん!今すぐに秘薬を飲んで、ここから移動しましょう!」
しのぶさんが慌ててそう指示をすると
「っはい!」
「わかりました!」
栗花落さんと村田さんが、そう返事をした。
…っ…効果が続く時間は決まっているのに…こんなことで秘薬を使うなんて…絶対に駄目…!
そう思った私は
「鈴音さん!!!!」
秘薬を口に含もうとする栗花落さんの手首をガシッと掴んだ。