第3章 未知との出会い、騒音との再会
「これも、どこかに付けるんですか?」
私がそう尋ねると
「それはね、太ももにつけて、クナイをさしておくの」
雛鶴さんのその答えに、
「太もも…ですか?」
なぜ敢えての太もも?
そう思い首を傾げる私に今度は
「こんな感じでつけて、クナイをさしておけるのさ」
そう言って、まきをさんがお手本につけて見せてくれる。
なるほどそう使うのね
ようやく使い方に関しては理解した。
けれども、私がそれを装着する為には大きな問題がある。
「それ、隊服の上から着けられますかね?」
頭に浮かんできた疑問をそのまま口に出すと
「……お前、なんでもっと早く言わねぇんだよ」
と、天元さんが目を細め、私をに睨むように見ながら言った。
「…っそんな事、私に言われても!」
「きつく締めれば、隊服の上からでもズレないかもしれないけど…もしかしたら動きにくくなっちゃうかもしれないわね」
「私は隊服の上からっていうのは無理だと思うよ?…素肌につけるからこそ固定されてるんだから」
まきをさんが自分がつけているベルト部分を上下に動かしながらそう言う。
せっかく頂いたのにそれじゃあ付けられないじゃない…。
そう思い肩を落とす私に
「私に名案があります!」
と言いながら、私のすっかり下がってしまっていた肩に須磨さんの両手が優しく置かれた。
「ズボンに横穴を開けて、取り出し口を作ればいいんです!」
「ズボンに…横穴?」
須磨さんの言っていることがいまいちピンとこず、私が首を傾げていると
「少し待っててください!」
と言って須磨さんがすぐそこにある棚に向かって行く。そこから何かを取り出し、なぜか後ろ手にそれを隠しながら私の方に近づいてくる。
そして、
「こう言う事です!」
スチャっと切れ味の良さげな鋏で
ざくざくざく
「えー!?!?」
私の隊服に豪快に鋏を入れた。