第3章 未知との出会い、騒音との再会
「おい荒山」
そんな私の心の呟きなどつゆ知らず、天元さんがこちらへとずんずん近づいてくる。そんな様子に、
「どうかしましたか?」
と私が尋ねると、
「お前に土産だ」
ズイと手に持っていた袋を私に差し出してきた。
私にお土産だなんて…なんだろう?というか、3人を差し置いてお土産なんてもらえないんだけど。
そんなことを考えながら、受け取れず、その袋をただじっと見つめてしまう。
「いや早く取れよ」
天元さんが眉間にほんのりとシワをよせながらそう言うも、
「…でも…」
やはりどうにも手を出すことが出来ない。
「受け取って。お土産…ていうよりも、私たち4人から、全部の修行を終えた鈴音への贈り物だから」
その雛鶴さんの言葉に、天元さんの手元から、3人のほうへと視線を移すと、3人はニコニコと笑みを浮かべ私のことを見ていた。そういうことであればと再び天元さんの方へと向き直り、
「…ありがとうございます」
と差し出されているそれを両手で丁寧に受け取った。
受け取ったそれをじっと見つめた後、
「…開けてもいいですか?」
私がそう尋ねると、
「もちろんです!どんな物が出来上がったのか、開けて見せてください!」
須磨さんがはしゃいだ様子で言った。
頑丈な布で作られたきんちゃく袋を開き、中を覗いてみると何やら短いベルトがついた同じ形状のものが2つと、それよりもベルト部分が長い鞄のような物が1つ入っていた。
「…これは?」
そう言いながら天元さんの方を見ると、
「説明してやるからさっさと出せ」
口調こそ乱暴に聞こえるが、口元をほんのり緩めながらそう言った。
「…はい」
私はまず初めに、袋に手を差し入れ、そこから大きい方を取り出した。