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音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第15章 強くなりたいと願うなら、前を向いて進め


疲れが溜まっているのは事実だし、杏寿郎さんに会いたい気持ちもある。杏寿郎さんも緊急の会議に参加するであろうから、すぐには会えなくとも、会議が終わればきっと邸に戻ってきてくれるはずだ。


「…わかりました。お言葉に甘えて、今日は休ませてもらいます」


それから、"気を遣ってもらいありがとうございます"とお礼を述べると、しっしと犬でも追い払うように手で払われ、"んなもんいいからさっさと帰れ"と言われてしまったのだった。





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炎柱邸に辿り着き、玄関に手をかける。そして


「ただいま戻りました」


そう言いながら扉を開けてみるも、杏寿郎さんの返事は聞こえない。元々いないだろうと予想はしていたものの、返事が来ないこと、それから三和土に杏寿郎さんの履き物がないのを実際に体感すると、寂しさが込み上げてくるようだった。

草履を脱ぎ、邸に足を踏み入れた途端、なんだかドッと疲れが押し寄せてくる。


……部屋で…ちょっと休もうかな


私はそのまま廊下を進み、私と杏寿郎さんがいつも寝ている部屋へと真っ直ぐ向かった。



















……あ…杏寿郎さんの…匂いがする


襖を開けるや否やフワリと香ってきた落ち着く香りに、急に心細さのようなものが込み上げてきた。

部屋の真ん中に敷きっぱなしになっている布団は、綺麗に整えてはあるものの、状況からみて杏寿郎さんが今朝まで寝ていたものに違いない。


……ちょっとだけ…横にならせてもらおうかな


この邸で過ごすことに慣れてしまったせいか、はたまた杏寿郎さんの隣で眠りにつくのが当たり前のことになってしまったせいなのか…どちらかはわからないが、慣れ親しんだはずの音邸にも関わらず、どことなく眠りが浅いことが多かった。

隊服を脱ぎ、肌着だけの姿になった私はいそいそと布団の中に潜り込む。すると、先ほど襖を開けた時以上に杏寿郎さんの匂いを強く感じ


……どうしよう…凄く…安心する


ここ数日、常に張り詰めていたような気持ちが、フッと和らいだ気がした。

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