第15章 強くなりたいと願うなら、前を向いて進め
「…チッ」
私の力に押し負けている事が相当お気に召さなかったのか、風柱様は今日聞いた中でも一番大きな舌打ちをし
「…っなめんじゃねェ!!!」
ビキッとこめかみに青筋を作り、私をグッと押し返して来た。いつもの私であれば、この状況になった時、押された力を利用して距離を取ることを選択する。けれども
「んぎぃぃぃぃ!!!」
我ながら、なんて声を出しているんだろうと思いながらも、普段と同じ戦い方をしていては仕方ないとそれに負けない力で押し返した。
縁側の方から
”…秘薬の効力で、不死川さんに負けないくらいの腕力が出せるんですね”
というしのぶさんの言葉や
”力の弱い鈴音が飲んであの状態とあらば、不死川や元々の身体能力が優れた人間が飲んだ際にどうなるのか見ものだな!”
杏寿郎さんの言葉、そして
”……不死川のやつ、まさか手を抜いているのではないだろうな”
という蛇柱様の声が聴こえてきた。
私と風柱様は、睨み合いながらギリギリと木刀で押し合い、互いの次の動きを探り合う。
…このまま睨み合っているだけじゃ力は示せない…っ…攻めなきゃ…!
そう思っていたのは風柱様も同じだったようで、お互い弾かれ合うように同時に距離を取った。そして
「…雷の呼吸伍ノ型…熱界雷っ!!!」
「風の呼吸壱ノ型、塵旋風・削ぎ!!!」
同時に型を放ち合う。
1度目の手合わせであれだけボロボロにされた私が、風柱様から型を引き出せた。その事実は、忍の秘薬がもたらす絶大な効果を証明するのには十分。
私が放った斬撃は風柱様の作り出した激しい風に巻き込まれ消えてしまった。
そして
「風ノ呼吸弐ノ型、爪々・科戸風!!!」
風柱様の方から飛んでくる斬撃に
……今なら…きっと…出来る!
私は
「…響ノ呼吸伍ノ型…響遠増振!!!」
こっそり編み出し完成はしていたものの、力量不足で中々使うことが出来なかった伍ノ型を放った。