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音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第15章 強くなりたいと願うなら、前を向いて進め


「へいへいわかってるよ。ったく、蛇柱様はせっかちだなぁ」


天元さんはそう言いながら一旦しまっていた秘薬を再び取り出した。


「これからこいつにこれを飲んでもらう。はじめにも言った通り、これは訓練用に俺が調合したもので、発揮できる能力に変わりがねぇが、効果が続く時間は本来の10分の1程度だ。だからその分反動を受ける時間が短い」


そう言いながら取り出したそれを私へ押し付けるようにズイッと差し出してくる。私はその赤黒い玉を躊躇なく手に取り、右手の親指と人差し指で摘むように持ちながらその全体像を観察した。


……これを飲めば…


このただの丸い玉に見える薬が、私たち鬼殺隊の希望となる。そう思うと、まだ口に含んでもいないはずなのに、不思議な高揚感のようなものを感じた。

縁側に横一列になっている柱達の視線も、私が手に持っている秘薬に集まっている。


「どれだけの時間効力が続くか、それは飲んだ人間の元々持つ身体能力次第。まずは、まぁ飲み込んでみろ」


私のことをじっと見下ろしながらそう言ってきた天元さんに


「……はい」


ゆっくりと返事をし、指先に持っていた秘薬を口に含む。口に含んだそれを舌の上で転がしてみると


……ちょっと…苦いかも


僅かに感じた苦味に、このままだと余計に苦味が増すと思い至り

ゴクリ

と、急いで飲み込んだ。


「飲み込んだな?」


天元さんからのその問いに、大きくコクリと頷く。


「多少の誤差は出るが、おおよそ10秒ほどで効果が現れ始める」

「10秒…随分と即効性があるんだなァ」

「忍の戦いも、鬼との戦いと同じで1秒2秒で戦況がガラリと変わる。効果が現れるのが遅けりゃ、それだけ戦いが不利になっちまうからな」

「……へェ」


風柱様は興味なさげにそう言いながら、天元さんへと向けていた視線を私の方へと向けてきた。

その時


「……身体が…熱くなってきました」


私の心拍数が徐々に速り、それに応じるように体温が上がって行った。

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