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音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第15章 強くなりたいと願うなら、前を向いて進め


「…まぁ、確かにそうだな」


天元さんはそう言うと、スッと立ち上がり


「お前ら一旦こっち来い」


私と風柱様に向けそう言った。

風柱様は"ちっ"と舌打ちをした後、私の横を通り過ぎ、天元さんの方…お館様と柱の方々が横一列に並んでいる縁側の前へと向かって行った。


「…っ…いてて…」


ゆっくりと立ち上がり、木刀で打たれた箇所とは違う痛みを有する腰を抑えながら、私も天元さんの方へとのろのろと進んでいく。

天元さんは到着した私を風柱様の横に並べるように移動させ


「不死川とこいつ。どれだけ差があるか、今ので伝わったろ?」


私たちの手合わせを一言も発することなく真剣な様子で見ていた柱の面々に見せるようにそう言った。


「確かに不死川さんの圧勝といえば圧勝です。ですが、その体格差と階級の差がありながらあそこまでやることが出来たのは、鈴音さんが自分の能力を把握し、それを最大限に活かすことが出来る力があったからこそ」


しのぶさんはそう言うと、私へと真っ直ぐ視線を向け


「素晴らしい手合わせでした」


私のことを褒めてくれた。すると


「その通りだ!やはり俺の鈴音は強い!」


杏寿郎さんも、とても誇らしげな表情でそう言った(頼むからこんな状況で俺の鈴音とか言わないで)。更には天元さんも


「この俺様が直々に鍛えてやってんだ。あれくらいやれて当然だろ」


口の端をクッと上げ、心なしか嬉しそうな声色でそう言っている気がした。

私はこれだけボロボロにも関わらず、こんな風にお褒めの言葉をいただけたことが嬉しくて、そして同じくらい恥ずかしくて


「…っ…ありがとう…ございます」


うつむき、もじとじと左右の指をいじりながらお礼を述べた。けれども


「そんなことはどうでもいい。さっさとそいつに秘薬を飲ませて次の5分を始めろ」


蛇柱様のそんな言葉に


…っ…そうだ…本番は…これからだもん…気を引き締めなきゃ…!


私は、緩みそうになった心の紐をギュッと結び直す。

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