第15章 強くなりたいと願うなら、前を向いて進め
秘薬に関して肯定的な様子だったのは杏寿郎さん、恋柱様、それから意外にもにも風柱様だった。
杏寿郎さんの元継子である恋柱様が肯定派になることは何となく予想がついていた。けれども、風柱様は違う。
”んな得体の知れねェもん使えるかァ”
そう言われると、私個人としては想定していた。けれども実際の風柱様が発した言葉は
「醜い鬼どもを1匹残らず排除出来んなら手段なんざどうだっていいんだよ。さっさとその秘薬とやらをよこしやがれェ」
というものだった。立ち上がり、天元さんに近づいて行こうとする風柱様に待ったを掛けたのは
「おい待て不死川」
蛇柱様だった。蛇柱様は右手の人差し指をスッと伸ばし、天元さんの指先で摘ままれた秘薬を指さすと
「手紙の内容からすると、それを使うことにより一時的に身体能力は上がるが、反動もあるとそう書いてあっただろう。そんなものを安易に使うべきではない」
瞳をスッと細めそう言った。
蛇柱様のその意見に対し
しのぶさんは”同意見”
水柱様は”俺に発言する権利はない”
霞様は”どちらでも”
岩柱様は”皆の意見に従う”
という反応だった。
……肯定的な意見じゃない方は非肯定派に含めるとすると…非肯定派の方が多くなるのか……それじゃあ秘薬を使うことは…きっと出来ない
秘薬を使い身体能力を向上させるだけであれば特段問題はない。肝心なのは秘薬を服用したときに、その効果がどれだけの時間継続し、その反動がどれだけ来るかである。
個々の肉体、身体能力に応じて変わるという反動継続時間をきちんと把握できないまま秘薬を使えば、自らの身を危険にさらす事になる。
「だからこそ状況の把握が必要だ」
私は天元さんが発したその言葉に心の中で同意をし、蛇柱様に向けていた視線を天元さんへと移した。
「煉獄以外の柱は任務に加え日々の見回りもある。それをこなしながら秘薬の訓練をするために、まずはお前ら全員が秘薬を飲んだ時の効果継続時間。それから反動継続時間を調べさせろ」