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音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第15章 強くなりたいと願うなら、前を向いて進め


……一体…何を言われるんだろう…


緊張と不安で、額にジットリと汗が吹き出てきた。


「随分と危ない目に遭わせてしまったね。鈴音の身に何もなくて本当に良かった」


お館様の口から紡がれたのは、私を労う優しい言葉で


「…っそんな…私は…私に出来る事をしただけで…あの位しか…私には出来ないから…」


恐縮し、余計に汗が出てきてしまう。


「そんな事はないよ。鈴音が頑張ってきてくれたお陰で、私達は上弦、そして鬼舞辻と闘う為の希望を手に入れることが出来たんだ。ありがとう」

「…っ勿体ないお言葉をいただき…ありがとうございます!」


私は顔を真下に向け、お館様にお礼を述べた。


「それじゃあ、本題に入ろうか。……天元」

「はい」


私の前にいた天元さんがスッと立ち上がり、その場から二、三歩前に出た。それからクルリと振り返り、私たちの方へと正面を向ける。

天元さんはゴソゴソと自らの胸ぐらを弄り、手のひらよりも小さな巾着袋を取り出した。


……あの中にはきっと…


私を含め、柱の面々が天元さんの手の動きに意識を集中しているのがはっきりと伝わってくるような、そんか異様な雰囲気が辺りを包んでいた。

天元さんはその巾着袋の中から赤黒い丸薬を一粒取り出し


「これは、俺が里から持ち帰った秘薬の調合法を元に作ったものだ」


その整った顔の高さに合わせるよう、親指と人差し指で摘みながらそう言った。


「医学的な視点からみると、到底そのようなものがこの世に存在するとは思えませんが…送られてきた文の内容が本当であれば、それを飲むだけで身体能力が飛躍的に上がると…そう言う認識でよろしかったですね?」


胡蝶様は秘薬に対して懐疑的な心境を抱いているようで、普段よりもさらにゆっくりと、確認するような口調で天元さんにそう尋ねた。


「あぁ。だがこれは、俺が訓練用に手を加えて作ったものだ。秘薬の効果が続く時間は短くなるが、その分反動を受ける時間も短くなる」


そんな天元さんの言葉に


「成る程!短時間でそんなものを作り上げるとは、忍とはやはり凄い!」


私の右斜め前にいる杏寿郎さんは前向きな反応を見せた。

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