第14章 秘薬を求めて※
「………」
部屋に1人取り残された私は、先ほどの自分自身の行動に頭を抱えていた。
私ったら…一体何をやってるの…!……でも…凄く…幸せだったなぁ…
思い出すと恥ずしさで身悶えしそうだった。けれども、あんな風に誰かに食べさせてもらうことは初めての経験で、しかもそれをしてくれたのが杏寿郎さんだと思うと、嬉しさの方がいとも簡単に優ってしまうから不思議だ。
私は杏寿郎さんが出て行った襖をじっと見つめ
…早く帰って来ないかな
1秒でも早く杏寿郎さんが戻ってきてくれたらいいのにと、そんな事を思ってしまうのだった。
その後私は、私の分、それから自分の分の食事を持って来た杏寿郎さんに
"ほら!口を開けなさい!"
"…っ…もう自分で食べられますから!"
"遠慮することはない!ほら!"
"も…もぅ…強引なんだから…"
結局半分ほど食べさせてもらう羽目になったのだった。
食事を食べ終え一休みした後
「さて、体調も腹も落ち着いただろうか?」
食後のお茶を食べ終え一息ついていると、杏寿郎さんが私の瞳を覗き込むようにしながらそう尋ねてきた。
その口ぶりに、真面目な話をされるのだろうと、口をつけていた湯呑みを置き、姿勢をただす。
「実は今日、秘薬に関する報告があるため緊急の柱合会議が執り行われる。もし鈴音が落ち着いていたら、共に連れてきて欲しいとお館様より仰せつかっている」
「…緊急の…柱合会議…ですか」
「うむ」
緊急の柱合会議に呼ばれたということは即ち、杏寿郎さん、天元さん、そしてしのぶさん意外の柱にも会わなければならないと言うことだ。
…柱…ちょっと怖いな
一般隊士である私からすれば、柱とは雲の上の存在である。天元さんに稽古をつけてもらうようになってから、何の因果か杏寿郎さんと度々顔を合わせるようになり(今ではなんと恋仲同士である)、しのぶさんとも親しくさせてもらうようになった。
けれども、その3人以外の柱は全く未知だ。