第14章 秘薬を求めて※
「長い時間可愛らしい声で鳴き続けていたからな。ここにも、随分と無理をさせてしまった」
そう言いながら、頬を撫でていた手を下の方へとずらし、愛おし気に目を細めながら私の腰回りを撫でた。
「…っ…!!!」
その手つきに、あの激しい情交が自然と思い起こされ、頬が熱くなってしまう。
正直に言うと、途中からの記憶がすっぽりと抜け落ちていた。けれども所々、恐ろしいほど気持ち良かったこと、自分の痴態、杏寿郎さんの燃えるような熱い瞳。それらはしっかりと私の記憶に根付いている。
……あんな姿まで見られちゃって…もはや怖いものなしな気がする
つるりと一皮むけてしまったような、そんな気がしてならない(かといって恥ずかしくないと言えばそうではないところが厄介だ)。
「…杏寿郎さんは…身体、辛くないですか?」
「む?俺か?」
「……はい」
誘幻花に侵され、もっともっとと絶え間なく杏寿郎さんを求める私にずっと応えてくれていた。流石に体力精力ともに常人離れしている杏寿郎さんとて、あれだけ身体を交え続け疲れないはずがない。
「疲れていないと言えば嘘になる!腰回りは普段の鍛錬ではあまり鍛えていない部分だからな!これを機に、鍛えてみるのもいいかもしれない!」
「……その必要は…ないと思います」
やる気満々に答えるその様子に、なんだか力が抜けてしまった。
その時
グゥゥゥゥ〜
「…っ!?」
私の腹の虫が、再び騒ぎ始めた。
先程とは違う恥ずかしさで頬が熱くなり、チラリと様子を伺うように杏寿郎さんの顔を見てみると
「約2日間食事をとっていないからな。腹が空くのは当たり前だ」
私の腹に視線をやりながら、そんなことを言った。一瞬サラリと流してしまいそうになったものの
……ん?…今…杏寿郎さん変なこと言わなかった?
杏寿郎さんの発言がおかしいような気がして、先程の杏寿郎さんの言葉をもう一度思い出してみる。