第14章 秘薬を求めて※
天元さんが去った直後
「では行くぞ!」
「…っ…はい…」
杏寿郎さんは先程まで杏寿郎さんが立っていた藤の家の門の前まで一気に跳躍した。杏寿郎さんは横抱きにした私の身体を揺らさないようにとても慎重に着地してくれたようだったが
「…っんぁあ!」
快感が私の身体を襲い、もはや声を抑えることも出来なくなった。杏寿郎さんはそんな私の頭を"あと少しの辛抱だ"と言いながら優しく撫でてくれる。その行動に
…っ…だめ…もう…杏寿郎さんが欲しい……!
私の中で最大まで膨れてしまった欲がとうとう爆発した。私は杏寿郎さんの首元に埋めるようにしていた顔をバッとあげ、縋り付くように首に回していた手を後頭部まで移動させた。そして
「む!?!?」
ムチュゥゥゥウ
そのままその端正な顔をグッと引き寄せ、まだ藤の家の玄関の前にいる状況であることも忘れ、"そうしたい"と叫ぶ心に従い杏寿郎さんの唇を奪った。
「…っ…鈴音…待つんだ…!」
杏寿郎さんが慌てた様子で私を引き剥がし、制止を求めて来たが
「…やだ……もぅ…たくさん…待ったの……!」
「…っ!」
一度タガが外れてしまった欲を抑え込むことなどもう不可能だった。ボロボロと涙を溢し、頬を紅潮させ
「…したい…今すぐ…杏寿郎さんとしたい…!」
そう懇願する私に杏寿郎さんは頬を染め、目を丸くし驚いていた。
「…っ…わかっている!だが部屋まで待ってくれ!ここでは俺も…何もしてやれない!」
私は必死な様子で私にそう言ってくる杏寿郎さんを無視し
ちゅっちゅっ
とその首筋に唇を寄せ、金色のボタンに手を掛けた。
「っ鈴音!…っ…仕方ない」
杏寿郎さんは私を止めることは無理だと判断したのか、先程天元さんの前でそうしたように炎柱の羽織で私の身を頭からすっぽりと覆い隠した。そしてボタンを外す私をそのままに
「失礼する!」
藤の家に足を踏み入れた。
パタパタと誰か近づいてくる足音が聞こえてきた気がしたが、私はもはやそんな事はどうでもいいと思っていた。