第14章 秘薬を求めて※
藤の家の主人が現れたのか
「すまないが急いでいる!不躾で悪いのだが今すぐ部屋に案内してもらいたい!」
杏寿郎さんは酷く慌てながらそう言っていた。
「話は既に鴉よりうかがっております。床の準備も人払いも済んでおりますのですぐ部屋にお連れいたします」
「そうか!それは助かる!」
藤の家の主人はお婆ちゃんなのか、慌てている杏寿郎さんに反し、とても落ち着いていた。
普段だったら絶対にそんなことはしないが、私は挨拶することも、もちろん顔を見せることもせず、ただ一刻も早く杏寿郎さんと繋がりたい一心で杏寿郎さんの隊服のボタンを外すことに集中していた。
ドタドタと廊下を速足で移動し
「こちらでございます。私は離れにおりますので、ご用の際はそちらまでお越しくださいません」
「承知した!気遣い感謝する!」
「それでは失礼いたします」
杏寿郎さんとそんなやり取りを交わした藤の花の主人は、サッとその気配を消しいなくなった。
杏寿郎さんは部屋に入るとすぐに襖を閉め、私を隠していた炎柱の羽織を取り払った。それから金のボタンを全て外し終え、中のシャツにも手をかけ始めた私の手をパッと取った。
そんな杏寿郎さんの行動を不満に思った私が視線を上げたその時
ちぅぅぅぅぅっ
と、今度は杏寿郎さんから私の唇を奪ってくれた。杏寿郎さんは私の唇を舌で割り、私の口内に熱い舌をちゅるりと差し込んできた。
にゅる…ちゅる…
「…ん…ふぅ…」
舌を絡み取られ、その気持ち良さで私の膝からカクンと力が抜けてしまう。
杏寿郎さんはそんな私の身体をいとも簡単に片手で支え、私の舌に舌を絡めたまま徐々に場所を移動していく。
「…は…っ…ふぅ…」
私と杏寿郎さん、2人の足が敷布団まで届くと、杏寿郎さんは私の背中を支えていた手をゆっくりと外した。すると自然と私の膝はカクンと折れてしまい、布団に膝をついてしまう。
杏寿郎さんの柔らかい舌の感覚を堪能したいと瞑っていた目を開くと、杏寿郎さんの、激しい欲を孕んだ視線と目が合った。
その視線に、じっと見つめられているだけで果てを迎えてしまうんじゃないかと思うほど、身体が更に熱く湧き立った。