第14章 秘薬を求めて※
けれども天元さんにはそんなことはお見通しだったようで
「……仕方ねぇ」
そう言いながらゆっくりと私を肩から降ろした。
僅かに軽くなった疼きにほっとしていた私だが
「…っ…天元さん…?」
天元さんと互いに向き合っていたはずの身体の向きをくるりと反転させられ、すぐそこにあった木に軽く押し付けられた。
「俺がこれからするのは応急処置だ。煉獄にも嫁たちにも絶対ぇ言わねぇから安心しろ」
「…え…っ…天元さん…なにを言って……っ!?」
私の頭上に置かれていた天元さんの右手がスッとお尻辺りに伸びていく気配を感じ
「…っ…嫌です…絶対…嫌!!!」
天元さんの言う”応急処置”が何を指し示しているのかを理解した。
「…っやだ…天元さん…やめてください…!」
ぼろぼろと涙を流しながら訴えかける私に
「仕方ねぇだろ。お前が果てそうになる度にこうして立ち止まってたら、いつまで経っても藤の家に着かねぇんだよ。そうなりゃ辛いのはお前自身だろ?少し弄りゃ落ち着くかもしれねぇんだから我慢しろ」
天元さんは珍しく優しい口調でそう言って来た。その口調から、天元さんが言葉の通り、私の為にいた仕方なく私のソコに触れようとしていることが頭では理解できた。
それでも
「…っ嫌です…杏寿郎さん以外に…っ…触られるなんて…絶対…嫌…嫌なんです…!」
いくら”応急処置”という名目だろうと、杏寿郎さん以外の人が私のソコに触れることなど我慢できるはずがない。
「…っ我慢します…止まってなんて…もう…言いません…っ…だから…お願いですから…っ…触らないで!」
天元さんはしばらく黙り込んだ後
「……わかったよ。俺が悪かった。だからんな泣くな」
ぐずぐずと子どものように泣き続ける私の頭にポンと手を置き、乱暴な手つきでそこを撫でくりまわした。
そうした方が効率がいいことを、私も頭では理解している。それでも、心はそうもいかない。いくら相手が信頼のおける師範である天元さんとて、一瞬たりとも触れられたくはない。私のソコに触れていいのは、触れてほしいと願うのは
「…っ…杏寿郎さん」
この世でただ一人だけだ。