第14章 秘薬を求めて※
「…っ…ごめんなさい…私…っ…身体は…まだ…おかしいままで…」
息荒くそう言った私の様子に、天元さんはピクリと目の端を動かし
「…ッチ…薬が効いたのは幻覚作用にだけか。お前らが作り出した胸糞悪い花の説明なんざもう聞きたくねぇ。約束通り鬼は狩ってやった!さっさと秘薬の調合法を渡せ!」
苦虫を噛み潰したような顔をしながらそう言った。天亥様はそんな天元さんの様子に
「仕方ない」
全くもって仕方ないと思っていなさそうな様子でそう言うと
「持って行け」
どこからともなく取り出した巻物を、天元さんに向けポイと投げつけてきた。天元さんはそれを難なく片手だけで受け取り、これまた器用に片手でそれを開いた。そして内容を確認するように、巻物をじっくり眺め始めた。
そんな天元さんの行動に
…っお願い…早く…早くして…
私は下履きがぐっしょりと濡れて行く感触を懸命に耐えながら、心の中で急かすことしか出来ない。
「…本物のようだな」
「当たり前だ。長として、約束を違えるような愚かな真似はしない」
天元さんは広げた巻物を元の状態に戻すと、先ほど丸薬を取り出した辺りにそれをしまい込んだ。
「こいつにこんな事しておいて、どの口がそれを言う」
天元さんのその言葉に
「俺がその娘に関してした約束は”嫌がることはしない”という事だけ」
天亥様はそう言ってのけ、更には
「想い人の姿で快楽を与えられ、嫌がる女がいるわけないだろう」
ごく当たり前のことだと言わんばかりにそう言った。天亥様のその言葉に
「…この里から抜け出して心底よかったと思うぜ」
天元さんは、怒りで声を震わせていた。
自分の為に怒ってくれる天元さんの様子に嬉しさを覚えるも
「…はぁ…はぁ…はぁ…」
熱く燃えるように疼く下腹部にやはりそれどころではない。