第3章 未知との出会い、騒音との再会
キィー
音を立て、木柵の中に入ると、
「もう!鈴音ちゃんったらぁ!遅いです!遅すぎます!待ちくたびれて首が伸びちゃうかと思いましたよぉ!」
そう言いながらプリプリと私に抱きつく須磨さんに、
「お待たせしてすみません」
私も軽く頬擦りを仕返した。そんな私達を、天元さんが
「…なんかお前ら…俺の知らない間に…すげぇ仲良くなってねぇか?」
変な顔をしながらじっと見ていた。
「だって天元様!よくよく聞いたら、鈴音ちゃんと私、同い年じゃないですか!同い年のお友達なんて、私初めてだったから嬉しくて嬉しくて」
「いやお前ら友達じゃねぇし」
「天元さん!なんて事を言うんですか!確かに…天元さんの奥様である須磨さんの事をお友達と言ってしまうのは失礼にあたるかもしれませんが…私も、須磨さんと仲良くなれて…すごく嬉しいんです!」
「いやお前、いつもの真面目ちゃんはどこ行ったよ」
「鈴音ちゃんはこの方が可愛いんです!私はそんな鈴音ちゃんがとっても好きなんです!」
「…もう…須磨さんったら…私も好きです!」
女将さんの元で働いていた時、周りは年上ばかりだった。その人たちからは、とても可愛がってもらっていたし、私自身もとても慕っていた。けれども、肩の力を抜いて話ができる存在とは言えず、こうして、同い年である須磨さんという存在は、とても新鮮だった。須磨さんはとにかく明るくて、人懐っこく、そんな須磨さんといると、私も自然と素の自分が顔を出してしまうのだ。
「あ、うん。わかった。わかったから。さっさと始めるぞ」
心底呆れた顔をした天元さんが、ペリッと私と須磨さんを引き剥がす。
「よし。じゃあ須磨。こいつに、ここで何をするか説明してやってくれ」
「はい!任せてください天元様!」
須磨さんは、天元さんに頼られるのがよっぽど嬉しいのか、頬を緩め、女の私から見てもキュンとしてしまうような笑顔で天元さんの顔を見ていた。