第3章 未知との出会い、騒音との再会
「どんなものか、なんとなくわかったかい?」
「はい」
「よし。じゃあ次。次はこの、閃光玉。光と音で相手の視覚と聴覚を奪う役割を果たす。攻撃用というよりも逃げる時や相手の隙を作りたいときに使う」
そういいながらまきをさんが袋から取り出した、先ほどの爆玉とはほんのりと色味が違う玉をじっと見ていると、
「お前、絶対に近距離でこれを使うなよ。耳がいい奴には効き過ぎて、鼓膜が駄目になる」
天元さんが、私の目をじっと真剣な表情を浮かべながら言った。
「…確かに、それは困ります」
この聴ける耳がなければ、私なんて使い物にならない。
使い時を、よく見極めて使えってことね。
「投げてみてもいいですか?」
「あぁ。投げたら、できる限り薄目になりな。耳も軽くで良いから抑えた方がいい。もし効果を体感しておきたいなら、どっちもしなくても構わないよ」
「…はい」
私は先ほどよりも遠くにある的めがけてそれを投げ、すぐさまギリギリ見える程度まで目を薄めにし、耳は敢えてそのままにした。
コツン
と的に当たった直後、
「…っ!!!」
薄目にしていなければ、あっという間に視界を奪われてしまいそうな程の強い光と、
…まずい…ほとんど聞こえないし…三半規管がやられてるのかな…クラクラする。
思わず耳を抑えながら座り込む。
そんな私の隣に、まきをさんが片膝を立てながらしゃがみ、私の背中にその手を置いた。
しばらくして、聴力が回復すると、
「わかったろ?お前は特に、これを使うときは注意しろ。下手したら…自滅だぜ?」
そう言って私を見下ろす天元さんに
「…っ…はい…」
何とか答えるのが精一杯だった。
その後、残りの2つ、”刺激玉”と”酩酊玉”の説明を受けた。
刺激玉と酩酊玉。扱い方は…そこまで難しくないし問題はなさそう。とにかく、4種類の玉のどれを使うかっていう状況判断が重要だな。場所と、鬼の特性をよく見極めて、いざとなった時に使えるようによく場面想定をしておかないと。
こうして爆玉に関しては、徐々に威力を上げたりもしながら、クナイを扱う訓練と同時進行で投玉の訓練も始まったのだった。