第3章 未知との出会い、騒音との再会
「鈴音あんたねぇ…それ、手にもってるんだから全然意味ないでしょ」
そう言ってまきをさんは、呆れた表情で私の伸び切った腕を指差した。
「だってぇ…」
思わず情けない声が出てしまう。
「怖がりながら扱うのが一番危ないんだよ!大丈夫。私がちゃんと教えてやるから安心しな!」
そんなまきをさんの言葉に
まきをさん…っ素敵!
思わず心の中で呟いてしまうのだった。
「よし。基本はクナイを投げる時と一緒。あの的に投げてみな。ゆっくりだと自分の身が危ないからね。思いっきりいきな」
「…はい」
まきをさんの言葉に従い、私はクナイを投げる時をイメージしながら人型の的に向かってそれを投げる。
ヒュッ
と音を立てながら的へと真っすぐに向かっていった玉が、コツンと音を立てて的に当たった直後
ドーン
「…っ!!!」
けたたましい音を立て爆発した。
その爆発音に私の体がビクッと大きく反応する。そんな私の様子に、
「すごい音でしょ?耳のいいあんたにはちょっと嫌かもしれないけど、この爆玉は使い方を間違わなければ殺傷能力もあるし、奇襲攻撃としてものすごく使える。私はどちらかといえば体術の方が得意んだけどさ。相手の能力が未知な時とか、人数が多い時なんかにも効果的だよ」
まきをさんはまるで気遣ってくれるかのように、私の背に手を置きながらそう言った。
「…鬼にも、効くんですか?」
私がそう尋ねると、
「当たり前だ!なにせこの俺様が調合してるからな!」
と、天元さんはそれはもう”褒めたたえろ!”と言わんばかりに胸を張りながら言った。
がさつで豪快そうに見えるのに、そんなことも出来るのか
そう思いながら天元さんの顔をじっと見る。
「…お前、なんか失礼なこと考えてんだろ?」
「…そんなことはありません」
ニッコリとほほ笑み、ごまかす私に、ぜってぇ嘘!なんて言っている声が聞こえては来るものの、私は考えるのに忙しくそれを聞き流した。
音は…確かに驚くし、少し怖い。でも、爆発音がすごいってわかってる状態で使えば心の準備もできるし、耳も切り替えれば何とかなるはず。鬼にも効く爆弾なんで、気配を絶って奇襲攻撃を加えるのには、最高の手段だ。…使いこなせるようになりたい。
そう思わないはずがなかった。