第13章 幸せすぎる無理難題と悲しすぎる別れの口火
「うむ!その通りだ!」
その言葉に
「…っ!?!?」
私は眼球が零れ落ちんばかりに大きく目を見開く。
…嘘…なにそれ…?
驚きのあまり何も言葉が出てこない私を更に追い詰めるごとく天元さんの言葉は続き
「お前がそんな文をお館様に送ったから、お館様はお前に見合いをするよう勧めて来なくなったんだよな。な?煉獄」
「その通りだ!お館様も俺が心より欲する相手と夫婦になれるよう可能な限り協力してくださると、そんなありがたいお言葉をいただいた!」
「だとよ」
天元さんはそう言うと、今度は私の肩にその手を置いた。
………なるほどね
私はようやく、今回何故杏寿郎さんと共にあの場に呼ばれたのかを理解した。頭に浮かんだその考えに
”そんな馬鹿な”
と言いたいところではあったが、今日までのことを振り返れば、思い当たる節がある。
最後に直筆で名前を書くだけの書類業務
そして今日のあれ。お館様ともあろう方が、自身の声がどの程度私に影響を与えるかを把握していないとは思えない。
……お館様も…杏寿郎さんが外堀を埋めるための協力をしていたのね
恐らくじぃちゃんから私の話を聞いていたお館様は、私が自分を卑下し、杏寿郎さんの希望をそう簡単に受け入れることが出来ないとわかっていたのだと思う。だからこそ、今日あの場に私を呼び出し、私の本心を確認し、尚且つ私を後押しするような発言をしてくれたに違いない。
いくら自分が杏寿郎さんに相応しくないと思っている私とて、私たち鬼殺隊士にとって絶対的存在であるお館様の後ろ盾があるのだと思えば、卑屈な気持ちも和らぐと言うものだ。
「お前がさっさと煉獄んとこに行かねぇからお館様がこんなことする羽目になんだろ」
天元さんはそう言うと
「…っ痛…痛いんですけど!!!」
私の肩に置いていた手を頭に移し、ミシミシと音がしそうな程の力で私の頭を鷲掴みにした。