第13章 幸せすぎる無理難題と悲しすぎる別れの口火
「それじゃあこれから、僕が掴んだ情報について話をするね」
「お願いします」
…だめ…きちんと聴かないと…!
そう思いお館様の声に集中しようと試みるのだが、聴こうとすればするほど、くらくらと、お酒に酔ってしまった時のような感覚が酷くなるばかりだった。
お館様がそんな私にチラリと視線を寄越し、パッと視線がかち合った。
お館様のお顔は爛れてしまっており、そうじゃない部分も酷く血色が悪い。それでもその表情は酷く穏やかなもので
「…っ…!」
奥方様と同じく、息を飲むほどの神々しさを感じた。
お館様は私から視線を外し、天元さんの隣にいる杏寿郎さんへと視線を移すと
「杏寿郎」
「はい!」
「鈴音は、私の声にかなりの影響を受けてしまっているみたいだ。鈴音の…もちろん杏寿郎自身の不安材料が少なくなくるように、天元と共に私の話をよく聞いおいて欲しい」
そう言ってニコリとほほ笑んだ。
「あいわかりました!」
杏寿郎さんがそう返事をしてくれた一方で
「お前そんなんじゃ来た意味ねぇじゃん」
天元さんは紫がかった赤い瞳をスっと細めながら私のことを睨みつけている。返す言葉もない私は
「…っ…すみません…!」
クラクラとする頭を堪え、ただ謝ることしかできなかった。けれども
「天元」
「はい」
「鈴音の聴覚は特殊だからね。天元とはまた違った、人とは違う耳のよさがある。ここまで影響が出てしまうのは私も想定外だ。だからね、鈴音を責めたらいけないよ」
お館様はそう言うと、私に向けニコリと穏やかな笑みを向けてくれた。
「…お館様がそうおっしゃられるのであれば構いませんが…ほら鈴音!お前もきちんと礼位ぇ言え!」
「…っありがとう…ございます!」
私はおでこが畳についてしまいそうなほど深く頭を下げた。
「いいんだよ。それじゃあ話を続けようか」
「はい!お願いします!」
そうして天元さん、杏寿郎さん、そして辛うじて私も、お館様が掴んだと言う天元さんの故郷の情報に耳を傾けたのだった。