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音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第13章 幸せすぎる無理難題と悲しすぎる別れの口火


流石に何も見えないのは心もとないな…まだ左耳はちゃんと聴こえないけど、訓練がてら聴きながら行かせてもらおう


そう思った私だが


「すまないが、鈴音には耳栓もしてもらう」

「え!?」


杏寿郎さんのその言葉に、思わず大きめの声が出てしまった。


「左耳が完治していないとは言え、視界を遮ることで君はより聴覚が鋭くなるだろう。そうなればどの道を通り、どの辺りにいるのか把握できてしまう可能性もある。故に非意図的に音が聞こえてしまう範囲は仕方がないが、聞かない努力をして欲しい」

「…で…でも…流石に耳を塞がれてしまうと…杏寿郎さんについていくことは出来ません」


感覚がより鋭くなるよう訓練は始めたものの、もちろんそんなすぐにその成果が現れはしない。そんな未熟な状態で、視覚と聴覚なしに杏寿郎さんに付いていくことなど到底不可能だ。

不安な気持ちを隠せないまま杏寿郎さんにそう言った私に


「付いていく?何を言っているんだ?」


杏寿郎さんはさも不思議そうにそう言った。そんな杏寿郎さんの反応に


…私…何か変なこと言ったかな?


私は困惑を覚える。そんな風に困惑している間に


「君のことは俺が抱いて連れて行く!」

「え!?」


杏寿郎さんの気配がぐっと私に近づき


「…ひゃぁ!?!?」


あっという間に足を掬われ杏寿郎さんの腕に横抱きにされてしまった。


「…っ嫌です!降ろしてください!」

「それは無理だ!」

「こんな格好で外を出歩くことの方がよっぽど無理です!」

「人のいる道は通らない!故に大丈夫だ!」

「…っ確かに人には見られないけど…それだけの問題じゃないんです!」

「ならばどんな問題だ!」


…あぁ駄目だ…この流れになったら…杏寿郎さんがきちんと納得してくれる理由を言わないと…押し通されちゃう…!


このまま横抱きでお館様のお屋敷まで連れていかれ、万に一つもこんな姿を見られるのは耐えがたい。天元さんにでも見られてしまった日には

”ずいぶんお熱い二人じゃねぇか”

等と言われ、恰好のからかいの的にされてしまうに違いない。かといって、視界も聴覚も両方奪われた私に、自分の足で向かうことは明らかに不可能である。

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