第12章 束の間の安息と初めましてと二度目まして※
「消しちゃいますよ?」
「うむ!」
私は垂れ下がっている紐を引っ張り部屋の明かりを落とした。明るい部屋が一気に暗くなったことでしばらく何も見えなくなったものの、鬼殺隊士である私は(もちろん杏寿郎さんも)あっという間に夜目が効くようになり、迷うことなく布団へと向かった。
私は先ほど包まった方の布団ををめくり、その中に身を納める。久々の慌ただしい1日が無事終わったと安心していたその時
「…っ…!」
想像していた通り、杏寿郎さんが当たり前のように私の布団の中に侵入してきた。
「…狭いんですけど」
「そうだな!近い内に2人用の大きな布団を買いに行こう」
「……そういう意味じゃありません」
「わはは!」
明らかに笑って誤魔化した杏寿郎さんは、私が言わんとしていることをしっかりとわかっているようだ。
杏寿郎さんは、杏寿郎さんに背を向けるように身体を丸めていた私の脇腹辺りから半ば無理矢理腕を通し
ぎゅっ
と、私の身体を強く抱きしめた。
「…っ…!」
その強引さと、背後に感じた熱に私は一瞬息をするのを忘れてしまう。更に、杏寿郎さんは私のうなじあたりに顔を寄せているようで、首元に杏寿郎さんの熱い息遣いを感じ
…やだ…恥ずかしい…それに…そんなことされたら変な気分になっちゃう…というか…これ……お誘い…されてるのかな…?
そんな考えがパッと頭に浮かんで来た。
「…あ…あの…杏寿郎さん…?」
「……なんだ?」
「…ん…!」
杏寿郎さんは"なんだ"と返事をすると同時に、私のうなじに柔らかく熱のこもった唇を寄せてきた。
「…っ…そんな風にされると…落ち着いて寝れないんですけど」
「そうか。それはよかった」
更に触れては離れ、離れては触れを繰り返し、腹部に回された腕は僅かに緩められ、怪しく私の身体を弄り始めた。
「…や…よくない…!…明日は…ん…お館様のところに行くんでしょ?……早く…寝なきゃ…!」
「そうだな。だがまだ日も跨いでない早い時間だろう?……それにだ」