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音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第12章 束の間の安息と初めましてと二度目まして※


そのあまりに優しい手つきと視線に


「…はい…大丈夫ですよ」


先程感じていた杏寿郎さんに対する苛立ちは、何処かへと飛んでいってしまった。

結局のところ、私は毎回こうだ。恥ずかしい、やめて欲しいと怒りながらも、最終的には杏寿郎さんのまっすぐな愛情に絆され"…仕方ないな"と受け入れてしまう。


…惚れた弱みって…こういうのを言うんだろうな


そんなことを内心考えながら、私は杏寿郎さんのお父様と弟さんの方へと視線をやり


「お父様、千寿郎さん。大変申し訳ないのですが、お茶の前に着替えて来てもよろしいでしょうか?」


そう尋ねる。

雛鶴さんまきをさん須磨さんとの稽古、そして邸までの道すがら、結構な速度で駆けて来たため汗をかいてしまった。

日頃から杏寿郎さんと共に稽古をしているお父様と弟さんが、私のことを"汗臭い"と思うことはないかと思うが、個人的には少しでも身なりを整え、恋人のお父様と弟さんと話がしたかった。


「もちろんどうぞ!俺が間が悪く鈴音さんの帰宅と鉢合わせてしまったので…すみませんでした」


弟さんは言葉の通り申し訳なさそうな表情をしながらそう言った。


「謝る必要なんて全然ないよ?驚きはしたけど、別に千寿郎くんが悪いわけじゃないし、会ってきちんと挨拶できたらなって思ってたから…むしろこんなに早く会う事ができて嬉しいと思ってるくらい」

「…本当ですか?」


不安げに私に視線を寄越しながらそう尋ねて来たその顔に


「うん。本当だよ」


私はニコリと微笑みかけた。

実際のところ、私は杏寿郎さんの空気の読めない(読まない)行動に困らされたし、予想外の来訪者に驚いた。けれども、こうしてきちんと杏寿郎さんの家族に挨拶できる機会が来たことに関しては、とても良かったと思っている。

特に


「あの…お父様」

「何でしょう」


杏寿郎さんのお父様とは、早めに話をしたいと思っていたから尚更だ。

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