第12章 束の間の安息と初めましてと二度目まして※
雛鶴さんまきをさん須磨さんはそれぞれ天元さんの右側、左側、そして背後に陣取ると、それぞれ天元さんの身体に身を寄せるようにくっついた。
私はそんな3人に
「…本当に…そうした方がいいと思います?」
上目遣いがちにそう尋ねた。すると返ってきたのは
「ええ」
「もちろんさ!」
「絶対そうです!」
私のその問いを肯定してくれる3人の言葉だった。
…雛鶴さんまきをさん須磨さんがそう言ってくれるなら…そうしてみるのもいいかもしれない
そう思った私は、天元さん達に向けていた視線を隣にいる杏寿郎さんへと移し
「…それじゃあ…今夜から…お世話になってもいいですか…?」
恐る恐る杏寿郎さんの顔を見上げた。
そんな私の行動に、杏寿郎さんは
「…むぅ」
何やらとてつもなく不満気な表情を浮かべた。そんな杏寿郎さんの反応に
「…っ…」
いつまでもうだうだ悩んでいたせいで、杏寿郎さんの気持ちが変わってしまったのではないかと急に不安が込み上げてきた。
"やっぱりいいです!"
と口を開こうとしたその時
「…っひゃ!」
ぬっと伸びてきた杏寿郎さんの腕に捉えられ、その胸に抱き寄せられた。
あまりの突然の行動に何も言えずされるがまま抱きしめられていると
「…君は俺よりも、宇髄の奥方達の方が好きなようだな」
心なしか拗ねたような声色で杏寿郎さんがそんなことを言ってきた。
「…っ!」
そんな杏寿郎さんの様子に
…っ…本当に…どうしてこの人はこんなにも可愛いの!?わざとやってるの!?そうなの!?
私の心の中は、杏寿郎さんのあまりに可愛い言動にキュンキュンと甘い音を奏でていた。
そんな杏寿郎さんの行動に
「…ふふ…鈴音の私たちに対する気持ちと、煉獄様への気持ちは全然違いますから。ご安心ください」
雛鶴さんが、綺麗な大人の笑みを浮かべながらそう言った。