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音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第11章 さよなら、ごめんなさい、そしてただいま※


「しばらく診せてもらいますので動かないでくださいね」

「あいわかった!」

「…煉獄さんの話ではありません」

「よもや!」


胡蝶様はそうしてしばらく私の左耳の具合を診たり、高い音や低い音の聞こえ具合を確認したり、それから私自身に今どんな調子かを聞いたりしてくれた。





















「診察は以上です」


胡蝶様はそう言うと、手に持っていたペンをカルテの横にコトリと置いた。診察の結果が気になり、私が口を開こうとしたその時


「それで!鈴音の耳はどうだろうか?」


私よりも先に、杏寿郎さんが前のめり気味に口を開いた。


「結論から申し上げると、前回見た時よりも、回復はしているようです」

「そうか!」


嬉しそうにそう答えた杏寿郎さんと同じように


「…よかった…」


私もほっと胸を撫で下ろした。

僅かに聞こえるようになっていたことから、自分でもそうなのでは無いかと思っている部分はあった。それでも、自分でそう感じるのと、医師である胡蝶様にそう言ってもらえるのとでは事の重みが全く違う。


「先程の鈴音さんの反応から見ても、前回と違い確実に聞こえるようにはなっているようです。けれどもまだ"回復の途中段階"であり、今後どこまで回復する見込みがあるかははっきりと言えません」

「……そうですか」

「鬼殺隊と関係のある医師で、耳の治療に詳しい方がいます。その方に診てもらうのが1番良いのですが、生憎その方はとても遠方に住んでらっしゃいまして。希望とあらば、鈴音さんにしばらくそちらに行っていただくことも可能です」

「……」


"遠方"と言う言葉が引っかかり、私は思わず口を噤んでしまう。


「もう一つの手としては、私がその方に鈴音さんの様子を伝え、助言をもらいながらここで治療を行います。私なりに色々調べ、その方とは何度かお話をしてはいますが、以前もお伝えしました通り私は耳に関しては専門外。勿論力は尽くしますが、現地に行って治療を受けるのに比べればどうあっても劣るでしょう。それでもよければ、私が責任を持って鈴音さんの治療を行います。…どうしますか?」


胡蝶様は私の意思を確認するようにじっと目を見つめてきた。

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