第11章 さよなら、ごめんなさい、そしてただいま※
「…っただいま戻りましたぁぁぁあ!」
邸の隅々まで届くような大声でそう言うと
「「鈴音っ!」」「鈴音ちゃん!」
バタバタと、普段はあまり聞くことがない三人の足音がこっちに向かって近づいてくる。
私も大好きな3人の姿が視界に入ったと同時に
「…っ雛鶴さん!まきをさん!須磨さん!…ごめんなさ…っ…ごめんなさぁい…!」
そちらに向かって駆け出した。互いの距離が縮まり、それがなくなると同時にむぎゅーっと3人同時に強く抱きつかれ
…っ苦し…窒息…するかも
3人の豊満な胸が私の顔をぎゅうぎゅうと押しつぶし、とんでもなく苦しかった。けれどもそんなことよりも、圧倒的に嬉しさの方が優ってしまい、すぐに気にならなくなってしまう。
「…っ遅い!帰ってくるのが遅すぎるんですよぉ!」
泣く須磨さんに
「あんたは本当に…どうしようもない馬鹿だよ!」
怒るまきをさんに
「凄く心配したのよ?もうこんなこと、絶対にしないでちょうだい」
優しく諭すように話してくれる雛鶴さん。今までと何一つ変わらない3人の様子に
「…っ私…私……」
涙を止める術なんてあるはずがなかった。
しばらくそうして4人抱き合っていると
「お前ら、んなとこで団子になってねぇでさっさと中に入れ」
呆れた顔をした天元さんが近づいてきた。
「だっでだって天元様ぁ…」
「だってじゃねぇし。煉獄、茶でも入れるから上がってけ」
天元さんはいつの間にか天元さんの隣まで来ていた杏寿郎さんに向けそう言った。
「誘いは嬉しいのだが鈴音を蝶屋敷に連れてくるよう胡蝶に言われていてな。彼女の耳の具合も気になる故、茶は改めてお邪魔させてもらった際に頂こう」
「まだ診せに行ってなかったのか?」
杏寿郎さんの言葉を聞いた天元さんは、僅かに驚いた顔をしながら杏寿郎さんにそう尋ねた。