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音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第11章 さよなら、ごめんなさい、そしてただいま※


「さて。ここを出る前に最後の確認をしよう。店は辞めて、俺と共に帰る。その認識で間違いないな?」

「……はい。しずこさんには自分できちんと辞めさせて欲しいとお願いします。ただ…お店を辞めて杏寿郎さんと共に帰るのは…しずこさんのご主人の調子がもう少しよくなってからにしたいんです」


その言葉に、杏寿郎さんは眉をピクリと動かした。


「彼女のご主人は病気なのか?」

「…病気かどうかは聞いていないんですが、体調を崩してほとんど部屋に篭っているんです。私も数えられる程度しか話したことがありません」

「そうか」

「しずこさん一人だとお店を続けるのが難しくて…助けてもらったのに、見捨てて帰ることは出来ません」


しずこさんは私に対して本当に良くしてくれたし、本当の家族のように…いいや、本当の家族以上に私のことを可愛がってくれた。


「そうか。わかった。それを含め、俺も君と共に彼女と話をしよう」

「…はい」


そうして、きちんと着物を着た私は、念のためにと杏寿郎さんの身体にコソコソ隠れながら蕎麦屋の一階に降りた。そこは本当にもぬけの殻で、杏寿郎さんに感謝をしながらも"無駄遣いをさせてしまった…"と、複雑な気持ちになったのだった。



















「ただいま戻りました」


ガラリとお店の戸を開け、しずこさんに聞こえるように普段より大きな声でそう言うと、足音がすぐにこちらまで向かってくる音が聞こえてきた。

しずこさんは私と杏寿郎さんが並んで立っているのをその目で捉えると


「おかえり」


穏やかな笑みを私達へと向けてくれた。


「…遅くなってしまいすみません」


もう日が落ち始めており、杏寿郎さんと私がこの店を出てからだいぶ時間が経ってしまったことを示していた。


「その様子だと……ちゃんと仲直り、できたようだね」

「は…はい……出来ました…けど…」


なにやらしずこさんのその言い方が妙に引っ掛かり、私は僅かに頭を右に傾けながらしずこさんを見てしまう。すると


「…服。出て行った時よりも着崩れてるよ。一体……どこで何をしてたのかねぇ」


しずこさんは悪戯な笑みを浮かべなからそう言った。

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