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音の溢れる世界でいつか【煉獄さん】【鬼滅の刃】

第11章 さよなら、ごめんなさい、そしてただいま※


…っ…そうか…


この女性たちがなぜそんなに私に向け覚えのない敵意を向けてくるのか。動揺でちっとも回っていない頭でようやく理解することができた。


「あんたが煉獄様と恋仲って聞いたんだけど…本当なわけ?」


真ん中の女性が、眉間に大きな皺を寄せながら尋ねてくる。

"柱"としての人望が厚いだけでなく、"男性"としてあれだけ魅力的な杏寿郎さんと恋仲になれば、こんな風に言われることもあるだろうと想像はついていた。けれどもまさかこんなにも早く、そしてこんな状況の時にその時が来てしまうとは。


…この人…私よりもずっと綺麗で…杏寿郎さんの隣が似合いそう


スラリと長い手足
杏寿郎さんに負けずパッチリとした可愛らしい瞳
自信に満ちた勝ち気な笑顔


どれもこれも私の目には魅力的に映る。


…それに比べて…私は


並の容姿
聞こえない左耳
弱い心


たまらない劣等感に苛まれ、視線をサッと外してしまう。


「うぅわ!やっぱ本当なんだ!」

「えぇえ!信じらんない!」

「炎柱様…どんな趣味してんだろうね」


私の反応を"肯定"と受け取った3人が、不快そうな様子を隠すことなく次々と鋭い言葉を投げつけてくる。


「私達、煉獄様のお家にお見舞いに行った帰りなの。でも、玄関先で弟さんにお菓子を渡しただけで帰ってきたの。だって煉獄様はまだ療養してるからね」

「あんたのせいで煉獄様は怪我を負ったのよ?その癖に、よくもまぁのこのこ行こうとできるわね」

「そうよそうよ!隊士の育成に専念することになった煉獄様に無理させて、一体何考えてるわけ?」

「折角直々に稽古をつけてもらう予定だったのにぃ。誰かさんのせいでそれも無しになっちゃった」


それらの言葉が、私を傷つけるためのものだということも、ただのやっかみであることもわかっていた。普段の私であれば、全く気にならない…とまではいかないが、うまく受け流せたかもしれない。

けれども


…やっぱり…私が杏寿郎さんの隣にいるなんて…おかしいんだ…


手に入れたと思った強さを失い、今後今までのように戦うこともできなくなってしまった私が、杏寿郎さんの隣に居続けることなどしていいはずがない。こんな私はやはり杏寿郎さんには相応しくない。

そんな考えが、私の頭を埋め尽くした。
 
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