第10章 奏でて、戦いの音を
「…ミソッカスのへっぽこなんですから…無理しちゃだめですよ?」
「…ミソッカスのへっぽこ…ですけど、全力で頑張ってきます!…須磨さんからもらった薬を使った感想、後で聞いて下さいね?」
私のその言葉に、須磨さんはバッと私から勢いよく離れると
「なんですそれ!?今!今すぐ聞かせてください!!!」
と、目を爛々とさせ私のそれをのぞき込んできた。
「ふふ…ダメです…っよ!」
「あぁぁ!待って下さいぃぃ!」
言い終えると同時にその場から跳躍し、私は戦いの場へと舞い戻った。
…いた!…帯の鬼の方には…善逸に炭治郎君に伊之助君?え…それじゃあ鎌の鬼の方に天元さんと杏寿郎さんの2人?
屋根の上で帯の鬼と戦っていたのは善逸炭治郎君伊之助君の3人だった。
力量を考慮すれば、杏寿郎さんと天元さんは別れて戦っていると思っていたのだが、3人が一緒にいる姿を見た限りそうではないようだ。そんなことを考えている私の視界に
ゴウッ
燃え上がる炎が映り込む。
……っ…待って!杏寿郎さん一人で戦ってるじゃない!?天元さんは…気配を感じない…?まさか…そんな…!!!
私は、杏寿郎さんの元へと急ぎ向かった。
たどり着いたその先で
ガキィィィン!
杏寿郎さんの振り下ろした日輪刀と交差した鎌が火花を散らしながらぶつかり合い、ギリギリと拮抗を保ちながら互いに睨み合っている。
けれども
「随分とお疲れのようだなあ。俺の攻撃を避けるので精いっぱいだなあ。後どれくらいもつかなあ」
「…っく…!」
段々と杏寿郎さんが押されていく。
「だせぇなあ。弱えなあ。俺の攻撃を避けるしか出来ねえ糞虫があ」
「…っ…悔しいが…あながち間違いではない…!」
段々と背が反っていく杏寿郎さんが苦しげな声でそう答える。そんな様子に
「…何ふざけたこと吐かしてんのよ!!!!!」
渾身の力と
バチバチッ
雷の呼吸を込めたクナイを鎌の鬼の左側頭部に投げつけた。雷を纏ったクナイはまっすぐと目標へと進んでいき
ドヒュッ
「…グハッ!」
その身の半分ほどが鎌の鬼の米神に突き刺さる。