第10章 奏でて、戦いの音を
「…鈴音の気持ちはわかったわ。止めても無駄ってことね?」
回復の呼吸を止めるのが嫌で私はコクリと大きく頷くことで雛鶴さんの問いに肯定の意を示した。
「ったく!あんたもとんだ頑固者だね!そんなに炎柱様のこと、好きなのかい?」
まきをさんのその問いにも、雛鶴さんにそうしたのと同じように頷く。
「もう!私たちがいない間にどうして進展しちゃったんです!?私、鈴音ちゃんからあれこれ相談されるの楽しみにしてたのに!」
「本当だよ。こりゃあこの戦いが終わったら、あたし達で鈴音を質問攻めにするしかないね」
「そうね…そのために、無茶はせず、ちゃんと帰ってくるのよ?」
三者三様の表情を受けべる3人に
…やっぱり大好き
自然と目が細まってしまった。
最後に
ふぅぅぅぅぅっ
と、深く息を吐き、頭を左右に軽く振った。
…よし。大丈夫。耳は…やっぱり戻らないけど、ふらふらする感じはない。気配も…響の呼吸を使えば何とか探れる
鞘に納めていた日輪刀を両方抜き
「私、みんなのところに…杏寿郎さんのところに行ってきます」
背後にいた3人の方へと振り返る。
「…わかったわ」
雛鶴さんはそう言いながらクナイを5本差しだしてきた。
「これ、鈴音が使うかもしれないと思って拾っておいたの。持って行って」
「…っありがとうございます!」
急いで受け取り、刺さる分は両太腿に、刺さらなかった分は腰の鞄にしまった。
「口開けな」
「え?」
突然のまきをさんの要求に驚き、自然と口が開いてしまった。するとその隙間から、まきをさんがなにやら小さな丸いものをコロリと1粒入れてくる。
「…甘い」
「気晴らし程度だけど気付け薬。頑張ってきな!」
「はい!」
そして最後に
「鈴音ちゃぁぁぁん!」
須磨さんが、私の身体にぎゅっと抱きついてきた。