第9章 燃やして欲しい、私の全て※
そして豆粒のように小さくなった和の姿を見ながら気が付いた。
条件を達成したって…もうそれ杏寿郎さんに抱いてもらいましたって報告してるのと一緒…だよね…?…報告は…絶対必要だし…元々…それが条件だったから…当たり前なんだけど…
「…っ恥ずかしい…!」
羞恥心に苛まれ、自分の頬に手を当てながらその場にしゃがみ込んだのたった。
————————————————
翌日。
虹丸に呼ばれ、音柱邸に到着した私の顔を見るや否や
「お前の報告に嘘はないようだな」
「…へ?」
天元さんはそう言った。
「…どういう…意味です?」
その言葉に、嫌な予感が胸を過ぎる。
「お前の報告が、嘘の可能性もあるからな。煉獄に直接確認させてもらった」
さも当然のことのようにそう言う天元さんの一方で、私は受け入れ難いそれらの言葉に驚き、目を見開き固まってしまう。
「まさかお前が、須磨からあの薬をもらってたとはなぁ。ま、良かったじゃねえか。好いた相手に抱いてもらって、恋仲にもなったんだろ?全てはこの派手派手な俺様のお陰だ!」
天元さんはその太い腕を組み、ニヤニヤと笑いながら私を見ている。
「…っ…炎柱様には…どこまで…?」
「あ?お前が煉獄を蕎麦屋に連れ込んで精力剤を飲ませてそれから…「っもういいです!黙ってください!」お前が聞いたんだろうが」
一見面倒臭そうにそう言った天元さんだったが、明らかに私のことを揶揄っており、私が慌てる様子を楽しんでいた。けれども、ふっとその表情を真剣なものに変え
「で、本当に行くんだな?」
私の目を見据えそう問うてきた。それに対する答えなんて、考えるまでもなく決まっている。
「はい。私の気持ちは変わりません」
「それは煉獄も承知してんのか?」
「…はい」
あんなめちゃくちゃな条件を突きつけてきたのは天元さんであり、天元さんのその条件のせいで(お陰で)杏寿郎さんと私は恋仲になったと言っても過言ではない。だからこそ、その質問を投げかけてきたのだと思う。
…雑に見えて…案外優しい人なんだよね…
「あっそ。まぁ、お前らが決めた事だ。俺が口を出すことでもねぇ。で、準備は出来てるか?」