第9章 燃やして欲しい、私の全て※
十分解され、濡れていた筈なのに、身を裂かれるような痛みが私の下腹部に走り思わず叫びそうになる。
炎柱様に縋り付くようにギュッと抱きつき、なんとか痛みを逃がそうと
…すぅぅぅはぁぁぁ
…すぅぅぅはぁぁぁ
深呼吸を繰り返した。
「…っ…すまないが…動く…」
炎柱様はとても申し訳なさそうな声でそう言った後、私の身体をユサユサと揺さぶり始めた。
「…いっ…ま…って…っ!」
"愛する人との睦み合いは最高よ"
…痛い…全然…気持ちよくない…っ…雛鶴さんまきをさん須磨さんの嘘つきぃ…!
そう聞かされていたはずなのに、現実のそれは涙が溢れるほど痛い。相手が自分が好きだと慕う炎柱様だから耐えられるものの、これが見ず知らずの相手だったらと思うと急に恐ろしくなった。
「…すまない…っ…だが…腰が…止まらないんだ…」
炎柱様に精力剤を飲ませ、こんな風にしてしまったのは他でもない私だ。だから文句を言う資格はない。
痛みを堪えるようにギュッと目を瞑っていたが、炎柱様の口から僅かに聞こえてくる、今まで聴いたことのない吐息混じりの声に釣られて目をうっすらと開く。すると私の視界に
…っ…炎柱様…こんな顔…するんだ
汗ばんだ顔で眉間に皺を寄せ、片方だけが露わになっている目を瞑り、熱い吐息混じりに呼吸を繰り返している炎柱様の姿が映った。
その表情に、ただただ痛いとばかり思っていたはずが、不思議とそれ薄れていく。それどころか、自分の内側が満たされていくような、充足感にも似た気持が湧いてくるような気さえした。
…心が満たされるって…こういうことなんだ…
そんなことを思いながら炎柱様の顔を見つめていると
「…っ!」
薄く開かれた炎柱様の右目と視線が合い、胸がギューッと甘く締め付けられる。
薬のせいで炎柱様がこんな風になってしまっていることはわかっているものの、こんな風に求めてもらえることが堪らなく幸せだった。